(一社)不動産協会は19日、「AI・IoT等、新技術の活用とまちづくりのあり方に関する調査研究」について報告した。
人々の価値観が「所有から利用」へ、「モノからコト・サービス」へといった方向に変化する中、新たな事業領域やビジネスモデルの構築が問われていること、社会課題を克服していくために「生産性の向上と働き方の改革」が求められていることなどを背景に、今後の新技術の活用・管理とまちづくりや不動産業のあり方、役割・展望について考察。東京大学教授の柳川範之氏をスーパーバイザーに迎え、会員企業や他業界の企業、学識経験者など10数者にヒアリングしてとりまとめた。
AIやIoT等の活用によりもたらされる事業環境の変化として、「移動/都市空間の変化」に関しては、自動車利用の変化に伴う都市空間・土地利用の変化や、道路、駐車場の再編成に伴う、新たなサービス・空間作りが求められ、「しごと/オフィス空間の変化」に関しては、オフィス空間が提供する価値・サービスの多様化および、オフィスの使われ方が多様化するとともに、ICT技術の活用が問われると予測した。また、「住まい/生活空間の変化」に関しては、ユーザにとって価値のあるソフトサービスの提供を重視したビジネスモデルの普及や、不動産テックによる不動産流通の変化などを予想した。
こうした新技術の進展に応じて今後不動産業界に求められる役割・対応として、サブスプリクション型ビジネスモデルの追及や、シェアリングエコノミー型ビジネスモデルの不動産業への活用といった「価値観の変化に応じたビジネスモデルの開拓」を挙げ、ニーズやデータを分析し活用することで、“不動産業のサービス産業化”の可能性が生まれると指摘。さらに、「都市を情報収集装置として整備し、プラットフォームを築くとともに、社会全体と連携・交流し、オープンイノベーションを創造」、「データを基にICT技術を活用し、都市を効率化・最適化することで様々な社会的課題を解決すること」なども挙げている。