不動産ニュース / 開発・分譲

2018/7/2

築60年の「大手町ビル」を大規模改装

北西部の外観(現在)
北西部の外観(完成予想イメージ)。皇居の御濠をイメージし、石垣モチーフに刷新する

 三菱地所(株)は2日、築60年の「大手町ビル」(東京都千代田区)の大規模リノベーション計画について発表した。

 同ビルは東京メトロ各線「大手町」駅直結。日比谷通り・丸の内仲通り・大名小路に面する。敷地面積10万496.03平方メートル、地上9階地下3階塔屋3階建て、延床面積11万1,272平方メートル。1958年4月の竣工当時は、東洋一のマンモスビルとして名を馳せた。

 大規模ながら9階という低層、東西約200m超に及ぶ横長な空間であることから小割貸付に適したフロア形状を生かし、新築ビルにはないオフィス空間の提供が可能なことから、リノベーションを選択した。同社執行役常務の湯浅哲生氏は、「スピーディな開発による新しい企業への訴求や低層ビルならではのコミュニケーション創出などの利点を踏まえ、再開発や建て替えではなくリノベで進めることにした。100年の節目を目指し、全面的に“刷新”する」と話した。

 リノベーション工事は共用部を中心に行なっていく。外装デザインは皇居側、日比谷通りに面する北西部は御濠をイメージした石垣をモチーフに、大名小路に面する北東部は東京駅や日本工業倶楽部に合わせたレンガ調にして周辺エリアとイメージを統一。丸の内仲通りが貫通する中心部分は通り抜け感を意識しガラス素材とし、3つの通りに合わせたコンセプトで刷新する。
 耐久性向上や将来的な管理コスト低減を適えるため、外壁はGRC(耐アルカリ性ガラス維持補強セメント)を採用。環境性能向上のため、既存窓枠を撤去し、熱負荷軽減につながるLow-E複合ガラスおよび日射フィンを採用する。
 内装は、現在入手困難となった石材の壁を残しつつ、一部改装する。

 また、コミュニティ形成を目指して、7階の一部オフィスを分解し、就業者の交流拠点ともなるラウンジ・テラスを新設。現在はほぼ使用していない約4,000平方メートルの屋上も屋上庭園に整備する。

 なお、リノベーションにより建物東側を「LABゾーン」とし、新たなビジネスを創造することを目的に、スタートアップ企業等個性あふれる企業のリーシングを促進。6階には同社とソフトウェア会社であるSAPジャパンが共同で、スタートアップ企業や大企業がビジネス創出を行なう共創スペース「TechLab」を開設する。

 18年5月に着工済み。21年3月に竣工する見込み。

北東部の外観(現在)
北東部の外観(完成予想イメージ)。東京駅のデザインに合わせ、レンガ調とする

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