不動産ニュース / 政策・制度

2018/10/5

社整審不動産部会、「新・不動産業ビジョン」策定へ

 国土交通省の社会資本整備審議会産業分科会不動産部会(部会長:中田裕康・早稲田大学大学院法務研究科教授)は5日、34回目となる会合を開き、「新・不動産業ビジョン(仮称)」の策定に向けた議論を開始した。

 不動産業に係る中長期ビジョンは、1992年策定した「新不動産業ビジョン」を最後に改定されていない状況である上、2000年を目途としたものであることから、その後の社会・経済情勢の変化を反映させ、おおむね30年頃に向けて不動産業が持続的に発展していくための新たなビジョンを策定することとしたもの。冒頭挨拶した国土交通省土地・建設産業局長の野村正史氏は「少子高齢化の加速、技術革新、経済社会情勢の変化を踏まえ、20年以降も不動産業が継続的に発展していくため、日本社会全体の方向性を踏まえ、その実現を支える不動産市場の形成に努めていく必要がある」と新ビジョン策定の趣旨を語った。

 新たなビジョンは、今年7月に発表された「働き方改革を支える今後の不動産のあり方検討会」とりまとめで示された「不動産」の方向性をベースに、「真に人に優しい不動産」の実現に取り組む不動産業の進化・発展に必要な要素を11項目に分け、具体的施策の方向性を記載していく。また、不動産業の範囲については、従来の4業態(開発・分譲、流通、管理、賃貸)に加え、「証券化」も定義する。今年度内の公表を目指す。

 会合では、不動産政策に関する最近の取り組みを情報共有、新たなビジョン策定に向けた議論の方向性や必要な視点について、各委員から意見を募った。委員からは「不動産業の中だけで完結するのではなく、日本経済の生産性向上や発展にどうコミットしていくかの視点が必要」「管理業は単なる管理ではなく、資産価値を高めるためのプロパティマネジメント的なものとしてほしい」「不動産の個人間取引プラットフォームが確立された後、業界がどのような働きができるのか」「人に優しい不動産は、いろいろな人が利用できるということであり、人々が複数の不動産を利用できるよう需要喚起が必要」「ユーザーやオーナーの社会的責任をルール化していくべき」「不動産情報は個人情報ではなく社会情報として二次利用できるよう考えを変えていくべき」「ビジョンは、都市の理論だけでなく、地方と都市とを併行して考えていくべき」などの意見が挙がった。

 部会は今後、月1回のペースで開催。当面は、不動産業各社からのヒアリングを行なう。次回会合は11月8日。

今回の部会から「働き方改革」の一環として、委員への紙による資料配布を止め、席上のタブレット端末で資料を確認しながらの議論となった

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