不動産ニュース / その他

2019/2/15

ESG投資を呼び込む不動産市場に向け検討会

 国土交通省は14日、第1回「ESG不動産投資のあり方検討会」(座長:日本大学経済学部教授・中川雅之氏)を開催した。

 世界的に、投資家が投資先にESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGs(持続可能な開発目標)への配慮を求める動きが強まっていることを受け、ESGやSDGsに沿った中長期的な投資を投資家から呼び込むために必要な市場の環境整備、機関投資家向けの情報開示などについて検討する。

 初会合となる今回は、ESG不動産投資のあり方に関する基本的な考え方、取り組みの方向性について議論した。

 基本的な考え方については、(1)対象不動産単体の短期的な収益性を重視するのではなく、地域社会を含めた中長期的な持続可能性の視点が重要ではないか、(2)社会における喫緊の諸課題に対応した不動産形成を進めるためには、ESGやSDGsの国際的な動きを取り込むことが有効ではないか、(3)ESG不動産投資を促進させるためには、中長期的な投資リターンや企業価値の向上につながる形で実現されるよう、各主体の自主的な対応を引き出すことが重要ではないか、といった論点が提示された。

 取り組みの方向性については、(1)ESGとSDGsは多様な要素が包含されているため、両者の関係を確定するのは難しいが、不動産投資においてはSDGsを実現するための手段をESG投資と位置付けると理解しやすいのではないか、(2)社会的課題解決に寄与する取組は、現在投資リターンにつながることが明確になっていない場合であっても、中長期的に投資リターンにつながる可能性があるのではないか、(3)機関投資家等が不動産投資判断を的確に行なうため情報開示が重要ではないか、といった論点が提示された。

 委員からは、「“地域社会を含める”ことが非常に難しいと思われる。地域社会にどういう条件、性質が備わっていないといけないかも示すべき」「ESG の評価基準が複雑で、数値的に分かりにくく、目に見えないものが多い。誰でも分かりやすいシンプルな指標が求められる」「マーケットか政府の見解か、どちらに寄るのではなく両輪で考えるべきではないか」「グローバルかローカルか、どこを基準にするのかの視点も必要」といった意見が聞かれた。

 今後は、3回程度の会合の開催を予定しており、分野別の取り組みとして、環境への寄与という観点から「省エネ性能の向上」、社会への寄与という観点から「健康性・快適性の向上」「災害への対応」「地域社会・経済への寄与」「超少子高齢化への対応」、ガバナンスの確保などについて議論。6月頃に中間とりまとめを発表する予定。

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