(一社)不動産流通経営協会(FRK)は12日、「シニアの住宅に関する実態調査」の結果を発表した。
2017年3月に発表した「首都圏の住宅市場ポテンシャルに関する調査」以降に公表した18年1月の単身者を対象とした調査、同年7月の若年層を対象とした調査に続き、住宅ローン控除等のない住戸面積50平方メートル未満の住宅取得に関する意識等について聞いた。三大都市圏および政令指定都市を有する都道府県に住む、住宅取得に際して老後への意識が働き始める45歳以上の男女を対象にインターネット調査を実施した。サンプル数は5,182件。
45歳以上で持ち家に住み替えた経験がある人のうち、50平方メートル未満の持ち家に住み替えたのはわずか5.5%。一方で、持ち家への住み替えを検討する人に許容できる面積水準を聞いたところ、50平方メートル未満という回答が26.5%と4分の1超となった。
住み替え経験者の住宅への満足度を聞いたところ、住み替え先が50平方メートル未満の住宅の場合、部屋の広さには72.2%が満足していると回答したものの、間取りや外観デザイン、収納、バリアフリーといったその他のハード面では、50平方メートル以上の住戸よりも大幅に満足度が低かった。一方、生活利便性や公共交通機関の利便性、まちのにぎわいといった立地面の満足度については50平方メートル以上の住宅を大きく上回った。
住み替え時の築年数については、20~30年未満が25.3%、30年以上が16.6%と高く、築浅の割合が総じて6~8%程度になっている。
また、住み替え検討者に面積のダウンサイジング意向を聞くと、「条件によっては狭くなってもよい」と「今の住居より狭いほうが望ましい」を合わせて67.3%がダウンサイジング意向があった。世代別にみると、45~54歳ではダウンサイジング意向ありが60.3%、55~64歳は65.2%、65歳以上では78.9%となった。65歳以上では、特に「今の住居より狭いほうが望ましい」という回答が33.8%と、他の世代よりも突出して高かった。
同協会では「50平方メートル未満の既存住宅は良質なストックが少ない一方で、一定の需要がある。過去の調査と合わせてエビデンスとし、住宅ローン控除等の適用要件緩和を政策提言に盛り込んでいきたい」とした。