不動産ニュース / ハウジング

2019/7/19

点検の現場に先端技術、女性や高齢者の活用へ

ドローンを使って高所の撮影を効率化できる(円内はドローン。右に拡大図)

 積水ハウス(株)は18日、ドローンやロボットを活用した戸建て住宅の定期点検手法「スマートインスペクション」の8月1日からの実装に先駆け、プレス向けデモ体験会を同社関東工場(茨城県古河市)で開いた。同手法の概要については16日のニュースを参照。

 屋根の点検にドローン、床下にロボット、小屋裏にロボットカメラを活用する。屋根の点検は、従来は重量のある高所カメラとその台を、屋根面ごとに移動して撮影。風でカメラが揺れるため、補助者が必要となり、高さも最大で約11mと3階建て住宅を点検するにはわずかに足りない場合があった。また、床下や小屋裏の点検についても、狭所や高温の空間での作業となり、作業員の身体的負担が大きいと指摘されていた。

 こうした課題に対して、ドローンやロボットを活用して解決していく。屋根の点検では、社員に配布されているiPadを使ってドローンを操作し、垂直移動と水平移動によって屋根の全体・一部および高所外壁を撮影。床下点検では、床下点検ロボットをiPadで操作しながらロボットに設置されたカメラで撮影。また、小屋裏についても、脚立に上らなくてもロッドの先端に装着したデジタルカメラをiPhoneで操作して撮影する。

 それぞれ撮影した画像は、クラウドを介して、ベテランの専門スタッフがチェックする専門部署オフィスサポートデスクに送信する。撮影した画像は高解像度で、瓦1枚のひび割れや雨どいにたまった落ち葉等、細かな破損や汚れも発見できる。問題が発見された場合については後日作業員による再検査で目視・計測する。画像チェック後には、送られた画像をもとに点検の報告書を即時作成。現場の作業員のiPadに送付し、その場でユーザーに点検結果を説明できる。なお、ユーザーにはその後印刷した報告書を郵送する。

 定期点検のうち、10年ごとの点検(10年、20年、30年)が対象で、従来は2人の作業員が4時間かけて行なっている作業を、1人の作業員が1時間45分で完了する。普及に向けて、同社の全国29ヵ所のカスタマーズセンターにドローン、床下点検ロボット、ロボットカメラを配備していく。機器納入の都合もあり、初年度で対応できるのは10年ごと点検の対象となる5万棟弱のうち、約2割程度を見込む。

 同社執行役員CS推進部長の小井孝員氏は「個人のスキルに頼らない点検ができる点も大きなメリットだ。作業員の負担軽減と安全性向上も図ることができる。今後は高齢スタッフや女性スタッフの増員も図っていきたい」などと述べた。

床下点検ロボットは約9cmの段差を乗り越えて移動できる
小屋裏はロッド先端のライトとデジカメをiPhoneで操作しながら撮影する

記事のキーワード 一覧

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2024年4月号
市場を占う「キーワード」
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2024/3/7

「海外トピックス」を更新しました。

飲食店の食べ残しがSC内の工場で肥料に!【マレーシア】」配信しました。

マレーシアの、持続可能な未来に向けた取り組みを紹介。同国では、新しくビルを建設したり、土地開発をする際には環境に配慮した建築計画が求められます。一方で、既存のショッピングセンターの中でも、太陽光発電やリサイクルセンターを設置し食品ロスの削減や肥料の再生などに注力する取り組みが見られます。今回は、「ワンウタマショッピングセンター」の例を見ていきましょう。