不動産ニュース / 政策・制度

2019/11/29

住生活基本計画見直しで初の「勉強会」

 国土交通省は29日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会委員による初の勉強会を開いた。

 2021年3月の閣議決定を予定している「新しい住生活基本計画(全国計画)」の策定にあたっては、見直しの視点とされている「ストック」「居住者」「産業・新技術」「まちづくり」のそれぞれについてより議論を深めるための勉強会と分科会を交互に開くことになっており、今回は「ストックの視点」に係る各種データの開示と、委員2名などによるプレゼンが行なわれた。

 深尾精一委員(首都大学東京名誉教授)は、建築構法の視点から既存流宅流通の課題を挙げた。日本の住宅は極めて多様かつ特性の違う構法が存在し、年代によって流通量がまちまちであること、戸建住宅と共同住宅の構法に共通項がなく、流通も維持管理も別分野となっていることなどを指摘。戸建住宅は高度な工業化によりカスタマイゼーションが進み、既存住宅流通時の顧客満足度をいかに高めるか、いかにマッチングさせるかが課題とした。

 野澤千絵臨時委員(東洋大学理工学部建築学科教授)は、空き家問題解決に向けた課題を提示。現在の空き家問題の根本的要因として、とりあえず空き家のまま置いておく「問題先送り」が大きな理由とし、「使えない・使わない空き家が解体に向かうためのインセンティブ」を構築すべきとした。住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例措置のため、空き家が解体に向かいにくいとし、流通や利活用に向けた取り組みや必要な管理が一定期間講じられない場合は、軽減措置を解除することや、解体費の助成など住宅を「たたむ」支援策の必要性、低額の空き家仲介に係る手数料のさらなる見直しなどを提案した。

 同会は、今日の提案等について、次回の分科会でさらに深堀りしていく。

この記事の用語

住生活基本計画

住生活の安定の確保及び向上の促進に関する基本的な計画で、全国計画と都道府県計画がある。住生活基本法に基づき、全国計画は政府が、都道府県計画は都道府県が策定する。

続きはR.E.wordsへ

動画でチラ見!

第18回 ジバコー 「原点」を語る

ニュースはこちら

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2025年5月号
「事故物件」、流通の課題は?
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2025/4/21

「記者の目」を更新しました

有事に立ち向かうエリアマネジメント」を公開しました。

エリアの価値向上に大きく寄与する複合開発。住宅や商業施設、公共施設、教育施設や図書館、クリニックなどが一体的に整備されることで、再開発されたエリア内で日常生活が完結できるような、利便性の高い生活環境が整うケースもありますが、その規模感の大きさから有事の際に全体が連携できるのかといった懸念も…。今回は、オフィスビル・賃貸マンション・分譲マンションの3棟からなる複合開発「MEGURO MARC」を取材。防災対策の本音を調査しました。