不動産ニュース / 政策・制度

2020/1/16

住生活基本計画見直しに向け、居住支援等の勉強会

 国土交通省は16日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会(分科会長:中井検裕氏(東京工業大学環境・社会理工学院長))の第2回目となる勉強会を開催した。

 事務局による、世帯別の居住者の現況等について基礎データを用いた説明が行なわれた後、4名の臨時委員から、現在取り組んでいる居住支援や生活支援の内容、考えられる必要な施策などについてのプレゼンテーションが行なわれた。

 NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長の奥山 千鶴子氏は、子育て家庭が求める住宅、サポート、必要とされる交流の場などについて、取り組みを踏まえて説明。続いて日本社会事業大学専門職大学院教授の井上 由起子氏が、高齢者の住まいについて住宅と施設、公営賃貸・民営賃貸などの多様な観点からの分析結果を紹介すると共に、地域の交流拠点の実例などを紹介した。

 NPO法人抱樸理事長の奥田知志氏は、居住支援・自立支援を含むNPOでの取り組み内容について紹介し、「住宅の確保が困難な方は、その背面で多くの困りごとを抱えている。家族機能が崩壊している現在、その機能をいかに社会化するかが重要」と述べた。さらに同NPO法人が取り組む、見守りや人的交流、見取り・葬儀などをコミュニティで行なう支える仕組みなどについて説明した。

 (公社)全国賃貸住宅経営者協会連合会会長の三好 修氏は、賃貸住宅ではなぜ高齢者の入居をためらうのか、その背景などを説明すると共に、孤独死の実態などについても説明。セーフティネット住宅の普及については、賃貸人へインセンティブを与えることも必要との意見を述べると共に、修繕費用の積み立てなどが、分譲マンションのように費用処理できるように、といった必要な制度変更などについても触れた。

 参加した委員・臨時委員からは、「これからの住宅政策は、『高齢者』などと対象を限定しないことが重要ではないか。今は若年者でも安定的な居住を確保できない人が増えてくる可能性がある。雇用政策、就業支援と住宅政策を重ねたような支援も必要になるはず」といった意見や、「交流拠点づくりの重要性は理解できているが、どういったストックを活用してどのようなところに設置していくのがよいかも教えてほしい」との質問が出されるなど、活発な意見交換が行なわれた。

 第50回分科会は、2月18日に開催する予定。

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住宅確保要配慮者

高齢者、低額所得者、子育て世帯、障がい者、被災者等の住宅の確保に特に配慮を要する者をいう。外国人やドメスティック・バイオレンス被害者なども住宅確保要配慮者である。

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