首都東京の防災まちづくりを協力に推進することを目的とした国土交通省と東京都の実務者による「災害に強い首都『東京』の形成に向けた連絡会議」が発足。15日、初会合が開かれた。
東京は、都市機能が高度に集積する一方で海面水位より低い市街地や密集市街地など、洪水・地震等のリスクが高い地域であるため、大規模災害による壊滅的な被害の発生を回避するための防災まちづくりに向け、国と都がハード・ソフト両面で連携。連絡会議で今後の取り組みの方向性を議論していく。座長には、国土交通省の山田邦博技監が就任した。
初会合にあたり挨拶した国土交通大臣の赤羽一嘉氏は「阪神・淡路大震災から間もなく25年。この間建物の耐震化は進み、災害関連法も拡充されたが、近年の気候変動により激甚災害が多発し、首都直下型地震の危険性・切迫性も指摘される中、国民の命を守る減災・防災対策が求められている。災害に強い東京をつくるため、国と都が協力して具体的な方策を検討していくことが重要だ」などと語った。また、小池 百合子東京都知事も「首都東京を守るという事は、国を守ることに他ならない。国と都が一緒になって、国民と都民を守るため英知を結集し、レジリエンスなまちづくりを進めていきたい」と抱負を述べた。
会合では、水害対策と地震対策について、これまで展開してきた施策と課題を確認、今後の方向性を議論した。水害対策については堤防整備や洪水調整施設等の整備が進められてきたものの、昨年の大型台風時にはあと一歩で大規模氾濫が発生する危険性があったことを指摘。堤防・調整池・排水施設の整備・強化に加え、高台まちづくり(線的・面的につながった高台・建物群の創出)を推進すべきとした。
地震対策では、密集市街地の不燃化への取り組みについて、無接道街区の建て替えが進まないこと、これら市街地の所有者や賃借人の高齢化が建て替えや住み替えの障害になっていること等を指摘。無接道敷地における戸建ての建て替え促進、防火規制による不燃化の促進、災害時の活動を円滑化する道路の整備、延焼遮断帯の形成等、市街地の不燃化を進めていくべきとした。
また、水害対策・地震対策とも、ハードの整備には時間がかかることから、災害時の円滑な避難のための情報提供、広域避難計画の策定といったソフト面の取り組みの強化や、民間事業者のノウハウも活用したまちづくりに取り組むべきといった意見も出された。