不動産ニュース / 開発・分譲

2020/1/20

アスコット、なんばで有形文化財改装のホテル開業

ホテル外観。1928年の新築時代の意匠を可能な限り残している
エレベータ上に残るアールデコ調の装飾

 キャピタランド社(本社・シンガポール)の日本法人である(株)アスコットジャパンは18日、サービスレジデンス(滞在型ホテル)「シタディーンなんば大阪」(大阪市浪速区、全313室)開業した。

 同施設は、同社8番目の滞在型ホテル。大阪メトロ御堂筋線他「なんば」駅徒歩10分に立地。(株)高島屋が事務所ビルとして使用してきた国の有形文化財「高島屋東別館」(1928年築)の複合ビルへのリニューアルにあたり、キーテナントとしてホテルを運営する。

 建物は、地上9階地下3階建て、延床面積約4万1,000平方メートル。アールデコ調の装飾、アーチやアーケードなど、昭和初期の華やかな百貨店建築が特長で、これらの特徴的な外観と意匠、天井や梁、柱、階段などの造作を補修し残しながら、「デパートメントホテル」をテーマにリノベーションした。一部は、高島屋が史料館、事務所、倉庫、会議室等として使用する。ホテル部分面積は1万7,000平方メートル、オフィス部分2,100平方メートル、高島屋史料館1,500平方メートル。改修費は、ホテル部分が89億円、オフィス等部分が56億円。

 客室面積は20~73平方メートル。家族連れの長期滞在も意識し、スタジオタイプ以外に、キッチンを備えた1ベッドルーム、2ベッドルームを27室設けたほか、2部屋をつなげて最大6名利用に対応するコネクティングルームを23組設定する。
 付帯施設としてジム、レストラン、ランドリー、キッズルームを用意。また、宿泊客が自由に使える「レジデンスラウンジ」(定員約30名)を設け、イベント等も開催していく。同社の既存のホテルはインバウンド比率が約9割だが、今回は歴史的建造物ということから国内観光客の取り込みも強化。インバウンド比率は約6割にとどめる。宿泊料金は、主力となるスタジオツインが一泊1万5,000~3万円。1ベッドルームツイン(56平方メートル)が3万3,000~5万1,000円。

 20日の開業式典で挨拶したキャピタランドグループCEOのケビン・ゴー氏は「高島屋さんとの初の協業は、当社のステークホルダーに大きな価値を提供することになる。今後も両社の競争力を高めるためさらに強固な協力関係を構築し、地域社会に貢献していく」と抱負を語った。また、高島屋代表取締役社長の村田善郎氏は「国の有形文化財を保全しながら新たな施設として作り変えた。大阪はインバウンドが最初に訪れる場所であり、日本の第一印象を決める場所でもある。地域を盛り上げるランドマークとして、しっかりと運営していく」などと語った。

 アスコットジャパンは、今年秋にもNTT都市開発(株)との協業により、ミレニアル世代をターゲットとした「ライフ福岡天神」(全131室)を開業する予定。

アーチ窓のある客室も用意。室内デザインはデパートがテーマ
宿泊客が自由に使えるレジデンスラウンジは24時間開放。キッチンも備わり、イベント等でも活用していく

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