(株)長谷工コーポレーションは7日、4月1日付での代表取締役社長の交代を発表。次期社長に内定した池上一夫氏と現社長の辻 範明氏が会見に臨んだ。池上新社長の略歴等は、7日付ニュース参照。
会見した辻社長(4月1日付で代表取締役会長に就任予定)は、「私が社長に就任した6年前、当社は長年の懸案だった優先株の償還を終え復配し、普通の会社になった。新しい長谷工を作る総仕上げとしての中期経営計画を策定し、適正な工事利益の確保、サービス関連事業の伸長、安定的な財務基盤の確立、新領域への挑戦を進めてきた。社員の頑張り、外部の協力、外部環境にも恵まれ想定以上の右肩上がりを実現できた。大栗育夫会長(4月より相談役)と10年間会社再建に取り組み、自分の中ではやりきったという思いがある。縮小するマンション市場、ITの進化、働き方改革といった変化へ対応し、これからの時代を引っ張っていくには池上君がふさわしいと考え、新中計策定のタイミングでバトンタッチすることにした」などと社長交代の経緯を説明した。
次期社長となる池上氏は「私に社長が務まるかという不安はあるが、会社のため、ステークホルダーの皆さんのため頑張っていく。辻会長のサポートもいただき、新中計完遂を目指す」と抱負を述べた。今後の方針については「建設事業とサービス関連事業の両輪体制の確立」「地方での事業基盤の確立」「財務基盤の確立」を掲げ、縮小する分譲マンション市場下で受注を確保するため、ITの活用を中心にコスト競争力、設計力、生産性、サービス水準を向上させていくとした。「現在、首都圏で約5%、近畿圏で約10%のタワーマンションの施工シェアを拡大していくほか、首都圏・近畿圏・東海エリアの近郊都市まで事業エリアを拡げ、高水準の受注を確保していきたい」(池上氏)。
ITの活用では、9年前から導入を進めてきたBIM(Building Information Modeling)について、20年度に新規設計着手した案件は100%BIM化し、コストダウンや商品性向上に生かし、働き方改革も進める。また、LIM(Living Information Modeling)により得られたマンション生活者の情報も、商品力向上に活かしていく。「デジタルトランスフォーメーションにより生産性を引き上げるのが、私の使命。用地情報に始まり、マンション建設、販売、管理などの各部門がそれぞれアナログで管理してきた情報をデジタル化し、スピーディ・リアルタイムにつなげることで、生産性とサービス向上につなげる仕組みを次期中計で実現する」(同氏)。