(一社)IREM JAPANと(一社)不動産テック協会(RET)は7日、「賃貸管理業法成立! 新時代に勝つ賃貸管理会社とは!」をテーマにWebセミナーを開催。約240名が視聴した。
IREM JAPAN会長の先原秀和氏(オーナーズエージェント(株)PM事業部部長)をファシリテーターに、同副会長の末永照雄氏((株)アミックス代表取締役社長)、同監事の塩見紀昭氏((株)明和住販流通センター代表取締役)、不動産テック協会代表理事の巻口成憲氏(リーウェイズ(株)代表取締役社長)、同理事の岡村雅信氏(ダイヤモンドメディア(株)代表取締役CEO)、同理事の名村晋治氏((株)サービシンク代表取締役)がパネルディスカッションを実施。賃貸管理業法成立後の管理会社のあり方や、テクノロジーをどう活用していくかについて意見を述べた。
賃貸管理業法後の変化を予測し、末永氏は「オーナーの高齢化、サラリーマン家主の増加等により、所有と経営の分離が進む。入居者募集、集金、建物のメンテナンス等をまとめて行なう“経営代行型”の管理会社が増えていくのではないか。管理手数料の仕組みにも、入居時等の一時払いや成果配分方式等が導入されるかもしれない」と言及。塩見氏は、「これまで管理の定義は明確になっていなかったが、今後は管理項目の細分化、明確化、多様化が進み、それぞれの分野での“管理のスペシャリスト”が活躍するのでは」と予測した。
家賃・不動産売買額の査定については、「ポータルサイトやこれまでの管理データを参考に算出している」(末永氏)、「建築、募集、管理部門の3方面から査定している」(塩見氏)と話し、巻口氏は「不動産テックを利用した査定を行なう事業者が増えつつある」とコメント。「例えば、AIは人のバイアスを排除して査定できるなど、データ収集にはテックの活用が有効な面もあるが、最終的な分析は人の判断が必要。テックと人とをうまく融合していければ」と話した。
賃貸管理のデジタル化では、不動産テック協会の取り組みを紹介。「行政にデジタル化の働きかけを行なっている。これが実現すれば、管理の現場はかなりの省力化につながるのではないか」とし、「紙かデジタルか、極論に走り過ぎず、相手の要望に応えていく柔軟性も必要」とコメントした。
管理業界の今後について、「家賃を上げる、空室をなくす、運営コストを削減する等で収益改善を図るという取り組みは今後も変わらない」(末永氏)、「コロナ禍によるテレワークの普及により、賃貸管理はどうあるべきか、どう変わっていくべきかを考えたい」(塩見氏)、「不動産テックは手段の一つ。メリットのあるサービスを提供し、生産性を上げるためのサポートを行なっていく」(巻口氏)、「日本独自の不動産テックの進化のあり方を探りたい」(岡村氏)、「ここ数年、不動産テックは過渡期にあり、事業者もとまどうことが多い。業界をどう変えていくかを真剣に考えていかなくてはならない時期」(名村氏)とそれぞれが意見を述べて締め括った。