不動産ニュース / 開発・分譲

2020/10/30

横浜の郊外大規模団地でモビリティ実証実験

「WHILL」で移動する住民。狭い通路でも余裕を持って通行でき、操作も簡単で乗り心地も良いと好評だ

 大和ハウス工業(株)は30日、大規模住宅団地「上郷ネオポリス」(横浜市栄区、総戸数868戸)において、新たなタウンモビリティを活用した実証実験を開始した。横浜市との共同事業で、経済産業省の「電動車いす等安全対策・普及推進事業」に採択されている。

 同団地は1970年に開発を開始。JR「港南台」駅からバス18分という、郊外大規模住宅団地。横浜市全体の高齢化率が25%弱なのに対して、同団地は約50%と同市内でも突出して高い。同社は、自治会らと共に「上郷ネオポリスまちづくり協議会」を設置し、コミュニティ拠点兼コンビニエンスストアの「野七里テラス」の開業や移動販売車の運行、コミュニティイベント支援など、さまざまな側面から団地再生の支援を行なっている。

 2017年に協議会が行なった全戸住民意識調査によると、まちづくりに関する関心事として、「交通の便」「買い物の便」を挙げる声が多かった。また、住み替えたいという住民に対してその理由を聞くと、「買い物や通院、通勤や通学に不便」という回答が過半となるなど、住民の移動手段の整備が最重要課題となっている。「バス停までたどり着くことができれば、広域移動が可能になる。自宅とバス停を結ぶ『ラストワンマイル』の移動手段としてモビリティを導入することで、高齢になっても住み続けられるまちづくりにつなげる」(同社ヒューマン・ケア事業推進部副理事・瓜坂和昭氏)。

 実証実験は11月20日まで。横浜市のベンチャー企業WHILL(株)が開発した近距離モビリティ「WHILL(ウィル)」13台を使用する。同機種は最高速度は時速6km(今回の実験では時速4kmまで)、最大荷重115kg、5cmまでの段差ならば乗り越えられる。65歳以上の住民10人に無償レンタルし、GPSで従来の行動とモビリティがある場合の行動の違いを調査する。また、野七里テラスでのお茶会イベント等を開催するなどして「出かける動機」づくりも行なっていく。

 これに加えて3台をシェアリング用として野七里テラスに設置。誰もが利用できるようにして、利用ニーズ等の把握につなげる。瓜坂氏は「高齢者だけでなく、妊婦やけがをした若者など、さまざまな人の利用を想定している」と話す。

 同社と横浜市、協議会ではそれぞれ、将来的な本格導入を目指しており、実証実験で得られた知見を今後のまちづくりにフィードバックしていく方針だ。

記事のキーワード 一覧

動画でチラ見!

第18回 ジバコー 「原点」を語る

ニュースはこちら

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2025年5月号
「事故物件」、流通の課題は?
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2025/4/21

「記者の目」を更新しました

有事に立ち向かうエリアマネジメント」を公開しました。

エリアの価値向上に大きく寄与する複合開発。住宅や商業施設、公共施設、教育施設や図書館、クリニックなどが一体的に整備されることで、再開発されたエリア内で日常生活が完結できるような、利便性の高い生活環境が整うケースもありますが、その規模感の大きさから有事の際に全体が連携できるのかといった懸念も…。今回は、オフィスビル・賃貸マンション・分譲マンションの3棟からなる複合開発「MEGURO MARC」を取材。防災対策の本音を調査しました。