不動産ニュース / 政策・制度

2021/3/15

国交省、「目安光熱費」表示でとりまとめ案

 国土交通省は15日、「住宅の省エネ性能の光熱費表示検討委員会」(委員長:田辺新一氏(早稲田大学創造理工学部建築学科教授))の3回目となる会合をウェブ形式で開催。住宅情報提供サイト等における光熱費表示に関するとりまとめ案を発表した。

 住宅の省エネ性能に対する関心を高め、より高い省エネ性能の住宅を普及させるため、省エネ性能から算出した光熱費表示を広告等に表示し、住宅の省エネ誘導を図る狙い。名称については、小売事業者表示制度の「目安電気料金」に準じた「目安光熱費」とする。新築分譲住宅および新築賃貸住宅を対象とし、既存住宅については今後検討する。

 光熱費は、建築物省エネ法に基づく設計一次エネルギー消費量を、ウェブプログラムで計算した設計二次エネルギー消費量に燃料単価を乗じて算出する。「ラベル表記」に、BELSの★マーク(第三者評価)に準じた省エネルギー性能の多段階評価により目安光熱費を表記。燃料別の設計二次エネルギー消費量、燃料別の燃料単価なども示す。消費者が実際の光熱費と誤認しないよう注記を行なう。燃料単価は、資源エネルギー庁の小売事業者表示判断基準と整合をとる。「創エネ」分については、設備機器による消費電力量から創エネ分(発電量)を差し引いて計算する。売電収入や売電量は光熱費と一緒には表記せず、個別のPRページや備考欄に掲載する。

 住宅情報提供サイト等の広告画面上の具体的な表示位置等は各媒体の判断に委ね、「目安光熱費表示はすべて年額」「多段階表記と併記し、専用の入力項目を設ける」「消費者が容易に認識できる解説ページを設ける」「目安光熱費に反映されないZEH、IoT住宅、太陽光発電、床暖房、エネファーム、オール電化等は物件詳細ページで個別にPRする」を原則とする。複数住戸の広告掲載については「最も性能が悪い物件」から「最も性能の良い物件」を「~」で掲載する。

 同制度の開始にあたり、同省で消費者向けリーフレットを作成。リーフレットと住宅情報提供サイトの解説ページで「目安光熱費の概要」「ラベル掲載内容の説明・見方」「算出方法や計算条件」「実際の光熱費とは異なること」「用語解説」を掲載する。

 委員からは、光熱費算出に係る用語の丁寧な説明、消費者や宅建事業者向けの相談窓口やツールの充実等の意見が出された。また、賃貸住宅は分譲住宅と違い入居者の入れ替わり期間が短いことから、表示の有効期限(新築の広告規約では1年)に限らず、設備機器の入れ替え等が発生しなければ継続して表記することを妨げないほうがいいという意見も出た。

 同省では、今年9月までに「建築物のエネルギー消費性能の表示に関する指針」の告示を改定。業界での啓発活動、各種システム改修、ポータルサイト側の改修を踏まえ、新築マンション、新築戸建での光熱費表示を2022年4~6月、新築賃貸住宅には同年10~12月に導入したい考え。

この記事の用語

建築物省エネ法

建築物の省エネルギー性能を向上するための措置を定めた法律。正式名は「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」で、2015年7月8日に公布され、施行日は2017年4月1日である(一部は2016年4月1日施行)。

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