不動産ニュース / 政策・制度

2021/5/19

住宅・建築物の省エネ強化に向けたたき台

 国土交通省は19日、経済産業省、環境省と合同で進める「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」(座長:田辺新一早稲田大学創造理工学部建築学科教授)の第3回目を開催。とりまとめに向けたたたき台を発表した。

 同検討会では、「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて、必要な住宅・建築物における省エネルギー化や脱炭素化に向けた取り組みについて議論している。特に、300平方メートル未満の小規模建築物・住宅については、住宅トップランナー制度はあるものの、省エネルギー基準への適合義務はないことから、義務化するかどうかが大きな論点となっている。

 事務局が示したたたき台では、新築物件を対象とした「省エネ性能の底上げ」策として、新築に対する各種支援措置について省エネ基準適合を要件化(誘導措置)、住宅も含めた省エネ基準への適合義務化範囲の拡大(規制措置)、30年の新築住宅の平均でZEH・ZEBの実現の目標を踏まえ、(ボリュームゾーンのレベルアップを経て)省エネ基準の段階的な引き上げを示した。「省エネ性能のボリュームゾーンのレベルアップ」に向けては、ZEH・ZEBの取り組み拡大、住宅トップランナー制度の充実・強化などを挙げた。
 委員からは「普及・啓発レベルではなく、すべての住宅・建築物における省エネ基準の適合義務化は必須」という意見が多くあり、そのためには「国民の理解が得られるよう段階的な義務化が必要」「国民・事業者ともに分かりやすく簡潔な制度設計を」「省エネ住宅の供給と共に省エネライフの在り方についても伝えるべき」など、さまざまな指摘があった。

 既存物件の「省エネ改修」については、省エネ性能に優れリフォームに適用しやすい建材等の開発・普及、耐震性がなく省エネ性能も著しく低いストックに対する建て替え支援などを示した。

 「再エネ・未利用エネルギーの利用拡大」に向けては、国や自治体による新築・既存建築物等における太陽光発電設備設置の率先した取り組みの実施、民間の住宅・建築物における太陽光発電設備設置の取り組みの支援拡充などを挙げた。
 なお、同テーマにおいて、住宅等への太陽光発電設備設置の義務化についても検討されているが、これまでの検討会において委員からの意見が分かれているため、今回のたたき台では方向性を示していない。今回も賛否両方の意見が挙がった。

 次回は6月3日に開催。とりまとめの骨子案を検討する予定。

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カーボンニュートラル

人間活動において、二酸化炭素の排出と吸収が相殺されてゼロであることをいう。例えば、植物のからだは空気中の二酸化炭素が固定化されたものだから、その燃焼(バイオマス燃料の利用)によって二酸化炭素が排出されてもカーボンニュートラルである。

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