不動産ニュース / 政策・制度

2021/5/27

高齢者の賃貸暮らしのQOL向上に向け検討

 国土交通省は27日、2回目となる「『ひと』と『くらし』の未来研究会」を開いた。

 今回からテーマに沿ったゲストスピーカーを複数名招き、それぞれの先進的な取り組みを発表。その後、初回の発表者である(株)まめくらし代表取締役・(株)nest代表取締役の青木 純氏、合同会社ミラマール代表社員の川人 ゆかり氏、プロジェクトデザイナーで(株)umari代表取締役の古田秘馬氏、(公社)全国宅地建物取引業協会連合会・不動産総合研究所の岡崎卓也氏、(株)不動産中央情報センター代表取締役の濱村美和氏をパネリストに迎え、参加者全員でディスカッションを実施。テーマ実現に向けた課題の抽出を行なっていく。

 今回は「年を重ねても幸せな暮らし~介護福祉と不動産業~」 をテーマに意見を交換。ゲストスピーカーとして(株) 65代表取締役の山本 遼氏、「介護クリエーター」で(株)STAYGOLD companyの横木淳平氏、(株) Happy代表取締役の首藤義敬氏を招いた。

 山本氏は、高齢者向け賃貸ビジネスは市場性が高いこと、孤独死等への対策方法などを紹介。同社では、高齢な入居者向けに電力流量を活用した見守りサービスを月額980円で提供している。「入居者から見張られるのは嫌だ、オーナーからはお金をかけたくないという話があり、開発したサービス。入居者からはここで死ねるのであれば本望。ただ、死後迷惑をかけたくないことから早期発見してもらえる仕組みはうれしいと言われている。オーナーも負担感は少なく取り入れやすいようだ」(同氏)。

 横木氏は、同氏が提唱する「介護3.0」について解説。高齢者がその人らしい生活を取り戻すことを目指し、従来の「お世話をする」という発想の介護ではなく、対等な立場でサポートしていく考え方に基づき、それを実践していくためのソフト・ハードの構築方法について話した。首藤氏は、運営する多世代型介護付きシェアハウス「はっぴーの家ろっけん」(神戸市長田区)について紹介。シェアリビングの機能を設け、高齢者だけでなく、シングルマザー、障害者などさまざまな属性の人が関わり合いを持てる場をつくることで、入居者だけでなく関係する人全員のQOL向上につなげているとした。

 これらケーススタディを基に議論。「年を重ねても幸せな暮らし」を実現していくためには、「高齢者だけでなくさまざまな人が集まれる場をつくり、コミュニケーションの機会をつくることが重要」「高齢者と一括りにするのではなく、多様化するニーズに合うよう制度のグラデーション化が必要」「住まいの整備には空き家がもっと活用できるはず。潜在空き家も含めた情報が欲しい」「在宅介護や看取りの環境を整える必要がある」などの意見が挙げられた。

 今後は、「地元経済と不動産業」「これからの不動産業」をテーマに、ゲストスピーカーを招いた検討会を6月3日(3回目)と同月14日(4回目)に開催。同月24日に開催予定の検討会(5回目)では、そこまでの検討結果を基に、課題の抽出をメインとした中間整理を発表する予定。その後も課題解消に向け研究会は継続する。

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