(一社)不動産流通経営協会は8日、「中古住宅購入における住宅ローン利用等実態調査」の結果を公表した。
消費者の既存住宅購入行動における、住宅ローン控除の築年数要件の効果を検証したもので、調査対象は、2018~20年に既存住宅を購入した全国の20歳以上の男女。有効サンプル数は2,393件で、そのうち既存一戸建て購入者が1,357件、既存マンション購入者が1,036件。
既存住宅を購入した際に、住宅ローンを利用したのは68.2%。そのうち69.3%がローン控除を利用している。ローン控除が適用される物件を探したという回答は、ローン控除利用者の54.3%と過半となった。
また、ローン控除が適用される物件を探した人のうち、40.8%が「本当は築古物件でも良かったが、(ローン控除の築年数要件である)既存マンションは築25年以内、既存一戸建ては築20年以内の物件を探すことにした」と回答しており、住宅選択にあたっては一定の築浅誘導効果があった。
ローン控除を利用した人のうち、築26年以上のマンション、築21年以上の一戸建てを購入した人は23.4%。その場合に必要となる代替要件の選択では、既存住宅売買瑕疵保険への加入が26.8%、耐震基準適合証明書の取得が43.8%、既存住宅性能評価書の取得が2.1%と、差が開いた。
一方、住宅ローン利用者のうち、ローン控除を利用しなかったのは25.3%。このうち、床面積が50平方メートル未満のため要件に不適合だったケースが18.6%、築年数要件に適合しなかったのが73.3%。このうち、代替要件の取得に動かなかったというケースが69.8%おり、制度の認知度不足や仲介会社の説明不足をうかがわせた。
FRKでは、今回の結果をエビデンスとして、政策・税制要望に反映させていく考え。「ローン控除が築浅への誘導機能を発揮していることは分かったが、要件とされる築年数を超えてなお十分に活用可能な既存物件を考慮し、『当初許容していた築年数よりも築古でも十分選択に値する』と考えるユーザーを増やすことが大切。今後、耐用年数について技術的な視点からも検討を進めたい」とした。