不動産ニュース / 政策・制度

2021/11/29

管理不全土地の適正な管理に向けた制度構築へ

 国土交通省は29日、第45回国土審議会土地政策分科会企画部会(部会長:中井検裕東京工業大学環境・社会理工学院長)を開催した。

 所有者不明土地法の見直しに向けて、管理不全土地の適正な管理を図るための仕組みや所有者不明土地対策を地域で一体となって進めていくための仕組み等を議論した。

 事務局からの案では、所有者不明土地法において所有者による適正管理を図るための行政的措置(地方公共団体による指導・勧告・命令・代執行等)を可能とする仕組みを創設する場合、市町村からの「対象土地の線引きが困難」との意見を踏まえ、その対象となる管理不全状態の判断基準を示す必要があるとした。一般的な管理不全状態への対応については、土地ごとの個別性や周辺を含めた地域性に精通した市町村の役割が大きく、地域の条例に委ねるべきではないかと記載。一方で、全国的な影響を及ぼし得る法律への規定に当たっては、条例による対応との整合性を図るため、市町村を主体とすることが適切であるとした。
 管理不全状態であることにより周囲に深刻な悪影響を及ぼすおそれのある土地の所有者が不明であった場合は、現在だけでなく将来にわたって引き続き管理が実施されないと見込まれること、また、市町村および同部会においても、共通して、管理不全状態の所有者不明土地における防災等の観点からの制度の必要性についての意見が出ていることを踏まえ、法律への規定に当たっての主たる対象を、管理不全状態の所有者不明土地とすることを提案した。

 また、所有者不明土地対策を効果的に進めていくためには、 市町村が地域の土地に関する課題解決のために活動するNPOや一般社団法人等の地域の法人と協働しながら取り組んでいくことが極めて重要であるとした。こういった地域の法人の社会的信用力を確保する仕組みや公益性が認められる活動に対する支援方策、所有者不明土地等対策について市町村がこれらの活動主体に協力し双方が課題や提案等を共有できる仕組みの構築が必要であるとしている。

 委員からは「所有者不明の管理不全土地の整備に係る費用負担を明確化してほしい」「市町村によっては所有者不明土地対策の担当職員がいないケースも多いが、今回の提案では市町村の負担がかなり大きいとみえる。国はどのような支援を行なっていくのか明確にすべき」「地域の法人には、土地取引の専門家である宅建事業者等も含めるべき」「事業に携わる人材の育成が大きなポイントになる。それに対する支援策も含めては」などの意見が出た。

 次回は12月22日に開催し、とりまとめ案について検討する予定。

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所有者不明土地

探索しても所有者を確知できない土地。所有者が不明な場合のほか、所有者の所在が分からない場合も含まれる。

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