不動産ニュース

2021/12/10

「令和4年度税制改正大綱」、各業界団体がコメント

 政府与党が10日に発表した「令和4年度税制改正大綱」について、各業界団体のトップから、以下の通りコメントが発表された。

(一社)不動産協会 理事長 菰田正信氏
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)会長 坂本 久氏
(公社)全日本不動産協会(全日)理事長 秋山 始氏
(一社)不動産流通経営協会(FRK)理事長 伊藤公二氏
(一社)不動産証券化協会(ARES)会長 杉山博孝氏
(一社)日本ビルヂング協会連合会 会長 木村惠司氏

(一社)不動産協会 理事長 菰田正信氏

 本日決定された「令和4年度税制改正大綱」では、最重点要望と位置づけていた2項目について、新築の住宅ローン減税は、ZEH水準の省エネ住宅に対する借入限度額の引上げをはじめとした充実した支援策が講じられることになった。また、土地固定資産税は、地価と実態経済に乖離も見られる中、令和4年度の税額が増加する商業地等に対し増税額を半減させる激変緩和措置が講じられることとなった。
 我が国経済がコロナ禍の影響が残り、依然として厳しい状況にあるとともに、先行きも不透明な状況にある中、経済の底割れを防ぎ、持続的で確実な成長を実現するための不可欠な措置と認識しており、高く評価している。
 さらに、国家戦略特区に係る特例やウォーカブル推進税制をはじめとする、都市、住宅、土地等に係るその他の主要な要望についても延長等が認められることとなった。魅力的なまちづくりの推進による都市の国際競争力強化や安心安全で良好な住宅ストック形成に資するものであり、評価している。
 ご尽力頂いた関係各位に対して、厚く御礼申し上げたい。

 今回の税制改正を踏まえ、当協会としても、引き続き、国民の暮らしを豊かにするまちづくりや住環境の整備を通じ、我が国の経済・社会の発展に貢献して参りたい。

(公社)全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)会長 坂本 久氏

 令和4年度税制改正では、住宅ローン減税は適用期限が4年間延長され、控除率が0.7%へ引き下げられたものの新築住宅の控除期間は10年から13年へと伸長した。また、住宅ローン減税と住宅取得資金贈与非課税措置における中古住宅では築年数要件が昭和57年以降竣工の新耐震適合住宅にも拡大されるなど、中古住宅流通にも配慮している。
 今回の省エネ住宅に対する措置も含めて良質な住宅取得への支援策が講じられたことは喜ばしい。
 さらに、土地の固定資産税は昨年度のコロナ禍での住宅地も含めた据え置きであったが、市町村の基幹税でもあり、本会でも十分に認識したうえでの要望活動であった。結果は、現下の経済状況や不動産市況等の実態も踏まえて、商業地の地価上昇に伴う負担抑制措置2.5%半減が図られたことは評価する。
 今後は、これらを反転攻勢の契機として、今回の税制改正及び補正予算案に盛り込まれたこどもみらい住宅支援策、事業復活支援金等を有効活用し、withコロナに伴う新しい生活様式の追求と、我が国経済の本格的回復を目指すという二刀流で取り組んでまいりたい。

(公社)全日本不動産協会(全日)理事長 秋山 始氏

 2050カーボンニュートラルの実現が我が国にとって喫緊の課題とされているところ、今般の住宅ローン控除制度の見直しに際しては、原則において控除枠を縮小させた反面、一定の省エネ性能を保持した住宅についてはこれを大きく拡充する上乗せ措置が講じられており、この点で直近の消費増税及びコロナ禍による反動減対策から、住宅の省エネ性能向上による脱炭素化へと軸足を移す姿勢が鮮明に打ち出されている。
 さらに、その対象がこれまでの新築住宅に加えて既存住宅にも及ぶこととなった点については、既存住宅の流通促進と良質な住宅ストックの形成に寄与するものとして高く評価したい。
 これらの施策によって、今後、消費者が住まいを選ぶ基準としてより一層「省エネ性能の保持」の点にスコープがあたることは間違いない。こうした動きにより、新築住宅のみならず既存住宅の流通に携わる各プレーヤーにおいてもその対応が急務になろう。
 本会としても、これまで以上に会員への適時適切な情報発信と啓発に努める所存である。

(一社)不動産流通経営協会(FRK)理事長 伊藤公二氏

 今回の税制改正大綱では、世界的なカーボンニュートラルの実現への流れのなかで、住宅税制においても環境性能に応じた優遇措置が講じられる内容となった。
 本年に適用期限切れとなる住宅ローン減税は、控除率を0.7%に下げ、控除期間を見直した上で、適用期限の4年延長が措置された。このほか、住宅取得資金贈与の非課税措置の特例、居住用財産の買換え等の譲渡損失の特例などの特例措置も延長され、固定資産税等の負担調整措置も商業地等について引き続き措置が講じられる結果となった。
 これらの措置は、コロナ前の堅調さを取り戻した現下の不動産取引を下支えし、市場活性化を後押しするものであり、大綱の策定にご尽力いただいた政府・与党の関係者の皆さまに厚く御礼を申し上げたい。

 今回は、住宅ローン控除の対象となる住宅について、築年数要件が廃止され、「昭和57年以降に建築された住宅」等が住宅ローン減税の対象に加えられたほか、新築住宅の最低床面積要件の40平方メートルへの引下げが存置された。コロナ後を見据え、優良なコンパクトマンションストックの蓄積等を通じて、住まいへの多様な顧客ニーズを充たす厚みのある既存住宅流通市場の形成・発展につながることを期待している。

 カーボンニュートラル推進の観点からも、既存住宅ストックをより有効に活用していくことが求められる。そのためにも、当協会としては、内需の牽引役である不動産市場において、既存住宅の流通活性化に鋭意取り組んでまいる所存である。税制・法制等の政策面での支援を引き続きお願いいたしたい。

(一社)不動産証券化協会(ARES)会長 杉山博孝氏

 Jリートに代表される不動産投資・証券化市場は、これまで国内外の投資家に様々な投資機会を提供するとともに、不動産と金融資産を繋ぐ資金循環機能を通じて都市の再生と地域の活性化を推進し、我が国経済の成長や雇用の拡大に重要な役割を果たしてきた。

 令和4年度税制改正大綱においては、当協会が要望した「固定資産税・都市計画税の負担調整措置の拡充」が講じられた。
 本措置は、コロナ禍の影響が長期化する中で、不動産投資・証券化市場の活力を維持し、資産デフレ再燃の防止に寄与するものであることから、高く評価したい。
 また、同じく措置された「都市の再生と地域の活性化に資する建築物にかかる諸特例の延長等」についても、良質な不動産ストックの形成や都市の魅力向上を促進するものであると評価している。
 ご尽力いただいた関係者の方々に深く感謝を申しあげる。

 当協会としても、市場の健全な発展を通じて、コロナ禍による苦境からの脱却と、ポストコロナ時代における日本経済の力強い成長に貢献するべく、一層の使命感を持って取り組む所存である。

(一社)日本ビルヂング協会連合会 会長 木村惠司氏

 令和4年度与党税制改正大綱において、当連合会が要望していたまちづくりや不動産に関わる税制上の特例措置の拡充・延長等が決定されたことを評価したい。
  特に、土地に係る固定資産税については、令和2年までの地価の急上昇を受けて、本年度の税額据置き措置の終了後、税額が大幅に上昇することも懸念されていたところであるが、今般、商業地に係る急激な税負担増加を緩和するための措置が認められたことは、新型コロナウイルスの影響により経済の回復が遅れる中、ビル事業の安定的な継続を図る上で、大変意義深いものと高く評価している。
  ご尽力頂いた関係者の皆様に、心より御礼申し上げたい。
  当連合会としては、今回の税制改正も踏まえ、良質なオフィスビル環境の提供を通じ、引き続き、我が国経済の成長力・国際競争力の維持・向上に貢献するとともに、都市再生と地方創生の推進に寄与してまいる考えである。

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