
三菱地所(株)は10日、同社が有楽町エリアで取り組む、アートを都市生活に融合させる取り組み「有楽町アートアーバニズム」について、記者説明会を開催した。
「アートアーバニズム」とは、「アート」と「アーバニズム」を組み合わせた造語で、都心ビジネス街にアートの「創造性」を取り入れて、ビジネスパーソンの感性を刺激し、イノベーションにつなげることが目的。アーティストの成長と新たなビジネスの創造を実現するエコシステムを形成し、エリアの価値向上につなげていく。
同社は、丸の内ストリートギャラリー(1972年~)など約50年前からパブリックアートに取り組み、美術館の運営や若手芸術家支援にも取り組んできた。そうした経験を生かし、推進している有楽町エリアでの再開発において、約2年前より新しいアートの取り組みを模索。20年6月にアーティスト目線でまちをリサーチする「リサーチプロジェクト」を皮切りに「有楽町アートアーバニズム」を始動させた。以後、アーティストの作品をまちに展開し、アート関係者のハブとなる拠点の設置なども手掛けてきた。
2月1日には、「アートアーバニズム」を具現化する実証プログラムとして、大丸有エリアの企業などによるアーティストの持続的な支援を通して、イノベーションを誘発する仕組みの構築を目指す「YAU」を本格稼働。「YAU」では、有楽町ビル10階および国際ビル地下飲食街の一画に、アーティストの作品制作過程を公開して交流を促進する「アーティストスタジオ(YAU STUDIO)」、若手アーティストに専門家がアドバイスする「相談所(YAU COUNTER)」を用意。その両方でオフィスワーカーがまちとアートに関して学ぶ「スクール(YAU CLASS)」プログラムも実施する。
3月4日より、(一社)日本現代美術商協会(CADAN)加盟ギャラリーとコラボレーションし、アーティスト12人が、丸の内仲通り沿いの7店舗のウィンドウにアートを展示し、販売も行なう「アートウォーク有楽町」も開始している。
同社執行役員の茅野静仁氏は、「大丸有にクリエイティブなビジネス人材を増やせればとアーティストに着目した。作品はもちろん、まちにアーティストがいるということ、プロセスやパフォーマンスに触れられることが刺激となる。その結果としてビジネスとアートの化学反応が起きることが次世代のまちづくりに重要になってくるのではないか。アーティストとともに新しいまちづくりのムーブメントを起こしていきたい」などと話した。
