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2022/3/24

居住支援には、横の連携が不可欠

 国土交通省は23日、「居住支援全国サミット」をオンラインで開催した。高齢者、生活困窮者、障害者といった住宅確保要配慮者に対する居住支援強化を目的にしたもので、厚生労働省との共催。

 国土交通省が住宅セーフティネット制度における居住支援、厚生労働省が高齢者に対する居住支援、そして法務省の担当者が刑務所出所者等の居住支援について、施策の内容や成果などについて発表。
 続いて、京都大学大学院工学研究科建築学専攻 教授の三浦 研氏が、「環境共生社会における居住支援」をテーマに講演を行なった。高齢者、障害者、ひとり親、児童養護施設退所者、法触者といった多様な人に対する支援制度はあるものの、効果が十分にあがっているとは言い難い状況を踏まえ、「支援の効果を上げるには、付随する支援サービスを住まいの変化に合わせて提供していく必要がある」と説明した。また効果を上げている居住支援の事例として、仕事・保育環境・住宅の同時解決が必要なシングルペアレント向けのシェアハウスを運営する(株)弥平治の「MOM-HOUSE」(千葉県流山市)の取り組みや、民間企業と連携しながら個室の宿泊、居場所としても使える食堂、雇用創出を行ないホームレスの居住支援を行なうHomedoor(大阪市)など、さまざまな事例を紹介。さらには、海外の居住支援の仕組みとして、イギリスのハウジングアソシエーションについても分かりやすく説明した。

 居住支援法人への申請支援等を行なっている(一社)全国居住支援法人協議会の取り組みや、徳之島での3町共同で取り組むとくのしま居住支援協議会設立までの歩みなどについて、担当者から説明が行なわれたのに続き、日本大学文理学部社会福祉学科教授・白川泰之氏をコーディネーターに、東京都足立区、神奈川県茅ケ崎市の担当者がパネリスト、三浦教授がコメンテーターを務めるパネルディスカッション「地域における居住支援体制の構築~つながりの広げ方~」を実施。「まちづくり部門と福祉部門が情報交換するということがこれまでほとんどなかったが、そこを進めたことで居住支援に力を入れなければならないという雰囲気が醸成されていった」「福祉相談室、家庭児童相談室などと意見交換をして制度を立ち上げた。居住支援は、入居後の生活支援が重要だという考えなので、現場の方との関係を保つようにしている」といった意見交換が行なわれた。

 パネルディスカッションの終わりに三浦氏は、「居住支援の取り組みを行政だけで進めるのは限界がある。居住支援協議会と連携してサポート事業を立ち上げるのも一案だろう。居住支援は住宅と福祉の連携によって成り立つ。住宅分野へ福祉の人材に入ってもらうというのも一案ではないか」とコメントした。

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