不動産ニュース / 政策・制度

2022/5/17

国土形成計画、中間とりまとめの項目を整理

 国土交通省は26日、新たな国土形成計画の策定に向け、国土審議会計画部会(部会長:増田寬也日本郵政(株)取締役兼代表執行役社長)の10回目の会合を開催。これまでの検討を踏まえ、中間とりまとめの項目の整理を行なった。

 項目案として、(1)デジタルを活用した官民連携による地域の諸機能の維持・向上の仕組みづくり(地域生活圏の実現)、(2)地方における女性活躍、(3)二地域居住者等を含む関係人口の拡大・深化、(4)国際競争力のさらなる強化、(5)交通ネットワークの充実と自動運転が変える国土、(6)民の力を最大限に発揮し、官が支える国土構造による経済成長の実現(巨大災害に強くしなやかな国土構造の実現、カーボンニュートラル(CN)と産業転換)、(7)国土利用の新たな方向性を挙げた。

 中でも今回のとりまとめの中心となる「地域生活圏の実現」に向けては、「デジタル田園都市国家構想」を支える国土の形成が、地方で人々が暮らしを続けるための、地域の取り組みの道標になるとした。

 課題解決向けたテーマとして、「生活者の利便を最優先する視線」「分野の垣根にとらわれないこと」「すべての関係者による協働」「デジタルの発想」を挙げた。これらをセットで取り組むための仕組みの構築が重要としている。同仕組みによって実現される暮らしに不可欠な諸機能(交通、医療、介護、教育、仕事、文化など)が、将来にわたり維持・向上されている姿を「地域生活圏」と定義。諸機能を確保する圏域については、地域が行政界にとらわれず生活者の行動範囲で考えるべきとした。諸機能の確保がされている実態からは人口規模10万人前後が目安だが、あくまで地域ごとの意向次第としている。国は地域生活圏の実現を強力に支援。民間の柔軟な発想を取り入れた推進主体(ローカルマネジメント法人)の仕組みも検討する。

 なお、「デジタル田園都市国家構想」は、内閣官房の第8回デジタル田園都市国家構想実現会議における検討を経て、5月下旬に基本方針が閣議決定される予定。年末に総合戦略の策定が予定されている。

 4月27日開催の同会議(第7回)で発表された基本方針の骨子案では、デジタルの力を活用して地方創生にかかる取り組みを一層高度かつ効率的に推進するとした。その下支えとなるデジタル基盤の整備や人材の育成・確保等も進める。また、地方の取り組みを促すため、構想を通じて実現する地域ビジョンを提示。「スマートシティ」「『デジ活』中山間地域」「産学官協創都市」「SDGs未来都市」「脱炭素先行地域」を挙げた。

 委員からは「全体のテーマ、国土の理想像が見えるようにすべき。そこに今回挙がった7つの項目案がどのように紐付けられるのか示してほしい」「地域生活圏を実現するためは住民参加の仕組みが必須だ。地方自治体との関係など、そこへの言及を明確にすべき」「地域のことを考えるとリアルとデジタルとのバランスを取るべき」「エネルギーや食料の確保といったリスクの問題も踏まえては」「デジタルを活用した地域活性化を実現するには、多極“集住”が必須だ。その考え方を入れるべき」「ローカルマネジメント法人については唐突感を感じる。広域連携を支援する形の方が現実的では」等の意見が挙がった。

 次回は、中間とりまとめの骨子案について検討する。

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国土形成計画

国土の利用・整備・保全を推進するための総合的かつ基本的な計画で、国土形成計画法に基づき策定される。計画は、全国計画と広域地方計画で構成される。

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