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2022/7/21

希少物件の価格査定支援を9月から運用開始

 (公財)不動産流通推進センターは、「価格査定マニュアル」では対応しきれなかった希少物件の価格査定のためのツール「売却価格提案リポート」を開発。公認 不動産コンサルティングマスターと宅建マイスターの有資格者を対象として、9月半ばより運用を開始する。7月21日、メディア向けに同リポートの説明を行なった。

 同リポートは、価格査定・提案を行なう際のプレゼンテーションツールのフォーマットとして考案。従来の価格査定マニュアルは、いわゆる「一般的な」物件を対象としていたが、同リポートでは豪邸や歴史的な建築物など高額かつ類似物件が少ない希少な物件を対象に、マーケット分析や顧客ターゲット分析等を通じて価格設定・販売計画を提案するツールとなる。

 同リポートでは、対象エリアのマーケットについて国土交通省や民間の公表データを参考に分析し、さらに総務省の「住宅・土地統計調査」などからエリアの平均所得や世帯数などを明らかにした上で、有資格者本人の知識や経験も加味して「想定ターゲット」を定めるのがポイント。さらに物件特性を評価して項目ごとに数値化。評価項目は「周辺環境」や「幹線道路からのアプローチ」「まちなみ」などといった評価項目なども含め、従来の価格査定マニュアルよりも細かく設定。さらに想定ターゲットが重視すると予測される項目のウエイトを重くすることで、想定ターゲットに対してのアピール力を示す。その上で、近隣の売出物件を同じ評価軸で採点し、その比較によって価格を算出する。

 9月以降、両有資格者のブラッシュアップを目的として実施している「プロフェッショナル教育」の一環として、同リポートの理念と活用についての講習をスタート。同時に有資格者によるリポートを活用した顧客提案がスタートする。講習では、リポート作成に向けた公的・民間データの取得・活用やプレゼンテーション文言の書き方などもレクチャーしていく。当面は戸建て・土地向けのフォーマットを提供し、今後、マンション向けのフォーマットも作成する計画だ。

 同センター教育事業部上席参事の渡邉 宏氏は、「資産管理を受託しているお客さまの投資判断等にも応用できるツール。これまで経験と勘を頼りにこうした提案をしてきた実務者も少なくないと考えられる。その経験と勘に、エビデンスを付与することで、より説得力のある提案につなげられ、お客さまからの信頼獲得につなげられるだろう」と語る。同センターでは、このツールを有資格者のブラッシュアップに活用するだけにとどまらず、資格未取得者のモチベーションアップにもつなげたいという。

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価格査定

不動産の売却を媒介する場合に、依頼者に助言するなどのため取引価額を算出する行為をいう。この場合にその根拠を示すことが必要で、標準的な手法によって取引事例を比較検討し、客観的で実際的な成約見込額を算出しなければならないとされている。

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