不動産ニュース / 開発・分譲

2023/3/1

東急不、ソーラーシェア事業の拡大へ実証実験

「リエネソーラーファーム東松山太陽光発電所」。写真の敷地は春から水田となる。水面からの反射光でも発電できるように、両面パネルを配置している
ブルーベリーの鉢植えを栽培中
農作業の邪魔にならないよう架台の高さや柱の間隔を調整。営農発電所はどうしてもパネルの影が生育に影響するため、最大限の収穫高が得られるように、パネルの配置や栽培する野菜等を検討していく

 東急不動産(株)は、再生可能エネルギー事業「リエネ」の一環として、営農型発電(ソーラーシェア)事業の拡大を図る。2022年12月に開設したソーラーシェア施設「リエネソーラーファーム東松山太陽光発電所」(埼玉県東松山市)での実証実験ノウハウをもとに、ソーラーシェア事業のパッケージモデルを開発し、首都圏、全国へと展開していく。2月28日、同施設等を報道陣に公開した。

 ソーラーシェア事業は、事業者が農地を借り上げ太陽光発電施設を設置。地面は農地として活用する。土地を所有する農家は架台を支える基礎と柱部分の地代が得られるほか、農業も継続できる。東急不動産ほか事業者は、太陽光発電に向いている大型の平地を得られ、事業拡大ができる。後継者不足等による耕作放棄地を農地として再生することで、地域農業の再生・支援、地域脱炭素、農作物の地産地消など地方創生に寄与していく。

 「リエネソーラーファーム東松山太陽光発電所」は、東武東上線「東松山」駅徒歩25分に立地する農地2ヵ所、約5,220平方メートルを借り上げ、708枚のソーラーパネルを設置。定格容量は約378kw、一般家庭110世帯分の消費電力を発電する。発電した電力は、東急不動産が渋谷エリアで所有するビル8棟で使用するほか、一部は地域防災用として還元する。

 2つの敷地では、水稲と人参、枝豆、ブルーベリーを栽培する。太陽光パネルも、水田やビニールシートの反射光で発電量を増すため、両面パネルも採用する。実証実験は、ソーラーパネル事業者や発電事業者など12社が参画。架台の間隔や高さ、パネルの斜度や配置などを調整しながら、最適な農作物、収穫量、発電量のベストミックスを検証していく。また、施設近隣に地域共生施設「TENOHA東松山」を開設。自治体や事業者に実証実験の説明を行なうほか、カフェ・コワーキングスペースとして地域に開放。畑で採れた米や野菜をカフェで提供。収穫イベント等の開催を通じて、地域住民の事業への理解を醸成していく。

 実証実験期間は3年間。すでに近隣自治体等の問い合わせがあり、関係者の施設見学等を通じて好感触を得ている。今後は埼玉県内、首都圏など電力消費地近くの農地を皮切りに、全国に約400万haあるといわれる農地への展開を図り、近い将来ソーラーシェアだけで数十MWの再生可能エネルギー発電規模を確保していく方針。

地域共生施設「TENOHA東松山」では、自治体や近隣住民にソーラーシェア施設や実証実験の説明、収穫イベント等を実施していく
「TENOHA東松山」のカフェではソーラーシェア施設で収穫した野菜やお米を使った料理を提供する

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