(一社)不動産証券化協会(ARES)は17日、(株)三井住友トラスト基礎研究所と共同で行なった「不動産私募ファンドに関する実態調査」の結果を発表した。今回で35回目、ARESが調査に参画してから2回目の調査となる。
調査は2023年1~2月(22年末基準)、国内不動産を対象に不動産私募ファンドを組成・運用している不動産運用会社を対象にアンケート調査および公表資料等の文献調査、ヒアリングを行なった。回答社数は71社。
22年12月末時点での不動産私募ファンド(私募REIT含む)の市場規模を運用資産額ベースでみると、29兆7,000億円(前回調査比12.4%増)と推計。JREITの市場規模21兆8,000億円を大きく上回った。国内特化型が21兆8,000億円(同10.6%増)、私募REITが5兆円(同2.0%増)、グローバル型が2兆9,000億円(同45.0%増)となった。アフターコロナを見据えた日本経済の正常化期待に加え、金利上昇の続く欧米と比べて安定して高いイールドギャップを維持していることから、グローバルファンドによる国内投資がより一層進んだと分析している。
エクイティ投資家の投資意欲について聞いたところ、「変化はない」という回答が89%(同14ポイント増)と大半を占め、あらためて堅調な投資意欲が確認できた。ただ一方で、前回前々回の調査では回答がなかった「低くなってきている」という回答が5%となるなど、少数ながら不動産マーケットの悪化懸念を持つ投資家が出てきていることが示された。
国内・海外の投資家に対して、プロパティタイプ別の投資額の状況を聞いたところ、国内投資家は「住宅」と「物流」で他のプロパティタイプよりも「増加」「やや増加」の回答割合が多くなった。増加・やや増加を合わせた回答比率は、「住宅」は41%(同15ポイント減)、「物流」は37%(同6ポイント減)となった。一方、海外投資家も「住宅」「物流」が高い回答比率を示した。しかし、国内では投資意欲が高いとは言えなかった「ホテル」が増加・やや増加を合わせて38%(同2ポイント減)となり、高い投資意欲が見られた。