不動産ニュース

2023/4/3

不動産・住宅各社で入社式(ディベロッパー)

不動産・住宅各社は3日、2023年度の入社式を執り行なった。各社の対応状況や社長挨拶の要旨については、以下の通り(順不同)。

◆三井不動産(株)
◆三菱地所(株)
◆住友不動産(株)
◆野村不動産ホールディングス(株)
◆東京建物(株)
◆(株)大京
◆(株)長谷工コーポレーション
◆森ビル(株)
◆中央日本土地建物グループ(株)
◆森トラスト(株)
◆三菱地所レジデンス(株)
◆東急グループ
◆(株)西武ホールディングス

◆三井不動産(株)代表取締役社長 植田 俊氏

 入社おめでとうございます。皆さんを心から歓迎します。
 三井不動産グループの歴史は、日本の経済・社会の発展とともに、ビジネスを革新し、新しい価値を生み出してきた歴史です。現在では、DX、GX を積極的に進めることにより、様々な社会課題を街づくりを通して解決するスマートシティの実現に取り組んでいます。価値創造に果敢にチャレンジし、常に自らのビジネスをイノベーションすることが当社グループのDNAなのです。

 はじめに、私が大切にしている想いをお話しします。それは、「妄想、構想、実現」です。私はこれまでの経験を通じ、突拍子もない「妄想」でも、そこに大義があれば仲間が集まって「構想」になり、「実現」につながっていくと確信しています。今、社会では、本気でイノベーションを起こし、圧倒的な「付加価値」を創出し産業競争力を高めることが求められています。皆さんのフレッシュな「妄想」が、新しいビジネスの芽を育てて「実現」され、これが社会のイノベーションとなり、三井不動産の今後の未来に欠かせない大きな力になると信じています。

 次に、私が思う不動産業のあり方についてお話しします。我々はオフィスビルや商業施設、住宅、ホテルなどの開発、分譲、営業、運営管理を行なっています。その意味では当然、「不動産デベロッパー」と言えるでしょう。
 ただ、「不動産」「街づくり」は手段であって、当社の本質は「産業デベロッパー」、つまり、当社は、建物だけでなく、「場」と「コミュニティ」の提供を通じて新たな産業とビジネスを創造する「プラットフォーマー」であると考えています。オフィス、商業、住宅、ホテル・リゾート、スポーツ・エンタメなど各事業分野において、当社がより豊かな暮らし方や楽しみ方を提案し、新たな需要を創出することが大切です。さらに強力に「産業デベロッパー」として、企業や社会、そして人々の発展と成長に貢献できるような街づくりに取り組み、当社も共に成長していきたいと考えています。

 皆さんに期待することは、以下の3点です。
 まず、「自立した個人になる」ことと「チームプレー」です。社会人となった皆さんにとって、自分の行動の結果には
自分で責任を負い、「自立した個人」として社内外の様々な人との交流や出会いを通じて視野や人間の幅を広げ、「自己実現を果たしていく」ことが重要です。同時に、絶えずチームとして最高のパフォーマンスを発揮することを意識してください。1人1人ができることには限界があります。当社のフィールドで成長した個人同士が、最高のチームを組んでパフォーマンスを発揮できたとき、それが社会に大きなインパクトを与えられる瞬間となります。
 二つ目は、「健全な心身を保つ」こと。当社は、ダイバーシティ&インクルージョンをさらに推進していく中で、全従業員がチームとしての協働を大切にしながら、時間と場所を自律的に選択できる柔軟な働き方を実践しています。しかし、心身が健康でなければ良い仕事はできません。常に心と体の健康を保てるよう、十分な自己管理を心掛けてください。
 三つ目は、「社会人としてのコモンセンスを持つ」ということ。法の精神を理解し、その精神・考え方に則って行動するということが大切です。「コモンセンス」さえしっかりしていれば、ごく自然に法の精神や考え方が理解できるはずです。

 当社が手掛ける事業は、社会的意義が大きく、人々に夢と感動を与えられる産業です。当社は仕事を通じた自己実現によって、日本全体ひいては世界全体のイノベーションに大きな影響を与えられる会社です。当社グループが、更に魅力あふれる企業グループであり続け、また今後もたくましく成長していけるよう、共に頑張りましょう。

 ◆三菱地所(株)執行役社長 中島 篤氏

 三菱地所グループは、「まちづくりを通じて社会に貢献する」を基本使命としており、その原点は三菱三綱領(所期奉公・処事公明・立業貿易)にあることを心に留めておいてほしい。

 本日は、当社グループの一員としてまた社会人として、次の3点をお願いしたい。
(1)チャレンジ:挑戦といっても、必ずしも新規事業提案や大規模案件といったハードルの高いものではなく、皆さんにはまず、日々出来ることを着実に実施すること、そして仕事に取り組む上で、前例に捕らわれずに行動することに挑戦してほしい
(2)コミュニケーション:昨今ではチャットやオンライン会議など様々なコミュニケーション手段があり、その使い分けも難しくなっている。また、社内も多様化する中では、言わなくても分かるは通じない時代と思っている。皆さんには話し方や、場面を考え、聞く側の視点も考慮しながら適切なコミュニケーション力を身につけてほしい。
(3)コンプライアンス:私たちの仕事は、周囲の方々からの信頼を得ることが非常に大切だ。日々の仕事のなかで「誠実・信頼」を心掛けてほしい。まずは皆さんには三菱地所グループ一員として、また社会人として、相応しい行動をとってもらいたい。

 最後に、入社したばかりの皆さんにしかない視点もあるため、遠慮なく意見をしてもらいたい。私自身も4月から社長に就いたばかり、皆さんと一緒に歩んでいきたい。

◆住友不動産(株)代表取締役社長 仁島浩順氏 

 住友不動産グループを代表して、皆さんの入社を心より歓迎します。

 4月よりスタートした新年度は、3期連続の経常最高益を目指し、現在推進中の「第九次中期経営計画」最終年度に繋ぐ重要な1年となります。
 経済情勢は、コロナ禍を脱却した一方で、地政学リスクやインフレ、利上げなど、先行きの懸念材料は枚挙に暇がありません。当社はグループの「総合力」で情勢の変化に柔軟に対処し、「持続的な成長」を目指してまいります。

 皆さんには、当社グループの一員として、目前の業務のみでなく広い視野と高い意識を持って、独自の視点・発想に基づき「こうあるべき」を実現し、住友不動産グループの未来を創造すべく大いに活躍していただきたい。

 これから共に頑張ってまいりましょう。

◆野村不動産ホールディングス(株) 代表取締役社長 グループCEO 新井 聡氏

 野村不動産グループに入社された304名の皆さん、誠におめでとうございます。
 皆さんが社会人という人生における新しいステージに入られたことに対して心よりお祝い申し上げます。
 また、皆さんのここまでの成長を支えていただいたご家族をはじめとする方々に対して、皆さんと一緒に深く感謝申し
上げたいと思います。

 皆さんの入社にあたり、私は皆さんにお約束したいことがあります。
 それは、当社グループがしっかりと「人的資本経営」に取り組み、皆さんのような人材を大事な「資本」として大切にし
て行くということです。
 人的資本経営とは、組織に属する人材に投資して、個人が持つスキルや能力を伸ばし、それを生産性の向上や組織の成長に繋げていこうとする経営です。人には「心」がありますので、働く人の心の状態や職場の人間関係等によってパフォーマンスが大きく変わるということも踏まえたうえで、皆さんが能力を伸ばし、自らの生産性を高めていけるように社内環境を整えていくことをお約束します。

 一方で、皆さんにお願いしたいことがあります。
 皆さんを「資本」として大切にすると申しましたが、これは、単に働きやすい職場を用意して優しく扱うということではありません。個々の人材が最大価値を生み出すことができるように、グループとしてしっかりと投資していく、つまり一人一人が能力を伸ばせる機会を組織として提供していくということです。例えば、日ごろの業務においては上司や先輩が皆さんをしっかりと指導し、成長を促していくということです。
 ここでご理解いただきたいのは、モノのような資本と違って、人的資本、つまり、人材に関しては、そのスキルや能力が
伸びていくかどうかは皆さんの「心の持ち方」による部分が大きいということです。
 ですから、皆さんには、自分という資本をどうすれば高めていけるのかを真剣に考えていただき、周りが与えてくれる成
長の機会を逃さず取り込んでいって欲しいと思います。

 最後になりますが、野村不動産グループの明るい未来は誰かが作ってくれるものではなく、このグループで働く仲間たち全員で作り上げていくものです。
 そして、皆さんは今日からその一員となりました。
 これから全員で明るい未来を作っていきましょう。何卒よろしくお願いします。

 

◆東京建物(株) 代表取締役 社長執行役員 野村 均氏

 皆さん、本日は入社おめでとうございます。新しい仲間を迎えることができ、大変嬉しく思います。(一部省略)

 当社は、1896(明治 29)年10月に旧安田財閥の創始者・安田善次郎翁により設立され、近代日本資本主義の父である渋沢栄一も創業に深くかかわりました。昨年創立126年を迎えましたが、これまで一世紀を超えて企業活動を続けられたのは、安田善次郎翁が旨とした“お客様第一の精神”と時代の流れを先んじて捉える“進取の精神”を社員一人ひとりが原点として大切にしてきたからだと考えます。
 また当社は、これまで創始者らの「道徳と経済は両立させることができる」という志を色濃く受け継ぎ、常に時代の要請に応え、人々の安全・安心な暮らしや豊かな社会の実現に貢献することを旨としながら事業の歴史を積み重ねてきました。この長年の積み重ねこそが、結果的に様々な成果や信頼の獲得へとつながり、当社が現在のデベロッパーとしての地位を確立できた所以と考えます。

 当社の企業理念は「信頼を未来へ」です。この企業理念は、お客様や地域の方々から信頼を得るためにはどうすればよいか、社員一人ひとりが考え抜き、行動し続けることによって、初めてその意味するところが相手に伝わり、理解されるものです。また、この企業理念は社外に対してのものだけではありません。社内や東京建物グループ内においても、お互いに仲間として信頼し合い、「この人とまた一緒に仕事がしたい」「この仲間と最後までやり遂げたい」と互いに思いあうことにより、初めて本当の意味でのシナジーが生まれてくるものと考えます。是非とも、「信頼」される人、「未来」を切り拓く人となるよう期待したいと思います。
 当社は、この企業理念「信頼を未来へ」のもと、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を目指すため、2030年頃を見据えた長期ビジョンとして「次世代デベロッパーへ」を掲げ、先ほど述べた「道徳と経済の両立」をさらに推し進め、「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立させることで、すべてのステークホルダーにバランスよく配慮を尽くす「いい会社」を目指すと宣言しています。
 また、この長期ビジョンの達成に向けて、事業を通じて実現する社会との共有価値を意識し、バックキャスティングによって取り組むべき重要課題の見直しを行い、「社会価値創出」と「価値創造基盤」の観点から14の重要課題を特定しサステナビリティレポート等において公表しました。すなわち、当社グループは、事業を通じて重要課題の解決に取り組み、社会に与える正の影響を最大化させるとともに、負の影響の最小化を図ることで、企業としての成長とともに、持続可能な社会の実現に貢献していくのです。新しく仲間になった皆さんにも、世の中の動向を広く認識し、各人の持ち場で重要課題の解決に向けた具体的な取り組みを自発的に進めていくことを目標として頂きたいと思います。

 最後に、何事においても身体はすべての資本であり、健康なくして何事も成し得ることはできません。
 当社は、優れた健康経営を実践している企業として、健康経営優良法人の認定を7年連続で取得し、上位500社のみに与えられる「ホワイト500」称号も3年連続6回目の取得ができました。今後も一人ひとりの健康の維持・増進に繋がる施策を積極的に推進しますが、健康管理は自らで責任を持ち、くれぐれも留意し社会人生活を過ごしてください。
 皆さんと一体となって信頼を未来へつなげる企業であり続けるその挑戦の歩みこそが、すべてのステークホルダーの皆様への価値提供であると私は信じています。
 皆さんの挑戦と成長が当社発展の原動力となることを期待しています。
 以上、私からの祝辞といたします。

◆(株)大京 代表取締役社長 深谷敏成氏

 新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。総勢117名の方を新入社員として迎えられることを、大変うれしく思います。役職員一同、心より歓迎いたします。また、本日は、社会人として新たな第一歩を踏み出す記念すべき日になります。ご家族をはじめ、これまでお世話になった方々への感謝の気持ちを忘れずに、社会人としての自覚をもって、新生活をスタートさせてください。

 大京ユニットは、常に時代を先取りし、マンションを中心とした住まいの文化を創造してまいりました。このような姿勢は、大京ユニットの良いところとして、これからも守り続けたい点です。一方、過去の栄光にとらわれずに時代に合わせ、柔軟に変化していくことも重要です。そのためには、上下左右のコミュニケーションを活発にし、皆さんのような若手も含め、社員全員がさまざまなことに挑戦できる組織にしたいと考えています。

 皆さんは、本日以降、ビジネスマナーや業務の研修を受けて配属されるわけですが、それに先立ち、私から、社会人の先輩として、三つアドバイスします。
(1)与えられた仕事の中で、小さな目標を持つこと、それを達成する楽しみをみつけること。
(2)先をみること。テーマは何でもいいので、自分なりの仮説をたてて、予測してみること。
(3)自己啓発。業務以外で毎年何か一つ勉強して、自身の幅を広げること。

 最後に、皆さんの社会人生活が充実して実り多いものになること、皆さんとご家族のご健勝を祈念して、お祝いの挨拶とさせていただきます。皆さんと一緒に仕事をするのを楽しみにしています。

◆(株)長谷工コーポレーション 代表取締役社長 池上一夫氏

 新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。

 今期は中期経営計画「HASEKO Next Stage Plan」(略称:NS 計画)の4年目にあたります。この3年間は、1年目に新型コロナの影響がありながらも、2、3年目の2年間は全役職員の頑張りで業績を回復することができました。今期は、来年2025年3月期に経常利益1,000億円を達成すべく更なる成長を目指していきます。世界的に物価動向や金融経済情勢が大きく変化する時代を迎え、目の前の仕事に一生懸命取り組んでいただくことはもちろんですが、こういった変化の瞬間はまたとない経験となります。
 この変化を当事者として感じてもらいたいと思います。

 困難を乗り越える時に頼りになるのが同期入社の仲間です。私も仲間と励まし合い、仕事への思いを語り合い、時には一緒に遊んで今に至っています。皆さんは新型コロナによる行動制限の中、青春時代を過ごしたと思いますが、これからは仕事で青春を謳歌してください。青春とは特定の時期を指すのではなく心の若さのことで、それを保つためには希望と情熱、勇気が必要です。同期の絆を深める機会を積極的に持ってください。
 また、仕事を進めていく上では、ルールやマニュアルを覚えて守っていくことが必要になりますが、常に「本質」を理解して欲しいと思います。そこに書かれていることの理由や背景を理解することで、ルールやマニュアルにない事象が発生した時に臨機応変に対応できるようになるからです。

 NS 計画の中で“DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進”を掲げていますが、最前線で仕事をする現場からアイデアをあげてもらうことが不可欠です。IT ツールに慣れ親しんだ皆さんは、新入社員だからと臆することなく、意識を高く持って積極的に提案をして欲しいと思います。

 何事にも「好奇心」をもって一生懸命取り組むことで、たくさんの経験を積むことができ、いろいろな発想が生まれてきます。皆さんが一日も早く成長し、グループの一翼を担う人材として活躍されることを期待しています。

◆森ビル(株) 代表取締役社長 辻 慎吾氏

 【街が誕生する瞬間を内側で体感するという経験は一生の財産になる。
 2つの「ヒルズ」の誕生が社会にどんなインパクトを与えるのか、自分の目でしっかりと見届けて欲しい。】

 我々は今年、全社一丸となって一心不乱に取り組んできた「虎ノ門ヒルズ」と「麻布台ヒルズ」を世に送り出す。全ての関係者の想いをひとつにつなぎ、考えうる最高の形に仕上げて、世の中にひらいていこうと、全社員でものすごい熱量で取り組んでいるところだ。

 これら2つの「ヒルズ」を誕生させ、軌道に乗せることができれば、「虎ノ門ヒルズ」「アークヒルズ」「麻布台ヒルズ」「六本木ヒルズ」がつながり、我々の戦略エリアの国際新都心としての可能性と、それに至るシナリオが誰の目にもはっきりと見えてくる。異なる個性を持つ複数の「ヒルズ」を、ビジネスや文化でつなぎ、緑でつなぎ、インフラやDXでつなぐことができれば、世界から人・モノ・金・情報・知恵を惹きつける強い磁力を持ったエリアになる。これは森ビルの未来をひらく戦略であると同時に、東京が世界の都市間競争を勝ち抜き、日本の国際競争力を高めるための都市戦略にもつながるものだ。

 街は50年後、100年後も都市に残り、社会に大きな影響を与え続ける。都市づくりという仕事は、地権者や関係者に対する責任、都市に対する責任、そして、社会に対する責任も伴う、本当にきつい仕事だ。しかし、多くの困難を乗り超えて街が出来たとき、全ての苦労を忘れるような喜びと達成感に包まれる。竣工式の関係者の満面の笑顔や、オープンした街にたくさんの人々が訪れ、楽しんでいる様子を目の当たりにしたときの喜び、我々の都市モデルが都市再生を牽引していることを実感したときの誇らしさ。いずれも都市づくりの醍醐味を感じる瞬間だ。

 森ビルの歴史上でも重要な節目の年に入社する皆さんは、街が誕生する瞬間の興奮を内側で体感するという、とてつもなく貴重な経験ができる。この経験は、間違いなく一生の財産になるはずだ。街が誕生した時、社会にどんなインパクトを与えるのか、自分の目でしっかりと見届けて欲しい。現場に足を運び、自分の目で観て、自分の肌で感じ、自分の頭で考えて、たくさんのものを学び取ってもらいたい。共に挑戦し、共に成長し、共に未来を拓いていこう。

◆中央日本土地建物グループ(株) 代表取締役社長 三宅 潔氏

  暮らしや経済活動が真の正常化へと向かう新たなステージを迎えるこの春、ともに新たな一歩を踏み出す皆さんを心から歓迎します。

 私たちはいま、2つの大きな変化の中にいます。ひとつは足もとの社会情勢や経済動向を背景とした「事業環境」の変化。もうひとつは世の中の働き方や住まい方の変化、あるいはテクノロジーやサステナビリティ分野に代表される「価値観」に関する世界的な変化の潮流です。

 今後しばらくは、先行きの見通しにくい難しい環境が継続するでしょう。一方で、社会のあらゆる活動と人々のくらしを支える不動産は、その変化の中にも、常に付加価値を伴う新たなニーズが生まれてきます。若い皆さんには、こうした予想がつかない変化に直面する中でこそ、過去にとらわれなることなく、イマジネーションを大いに働かせ、自らチャンスをつかみ取りに行く、発信力や行動力の発揮を期待しています。

 新たに当社グループの仲間となる皆さんに、心構えとしてお願いしたいことを3つお話しします。

 1つ目は、「未来志向で自立性を高く持つこと」です。環境変化が激しい時代においては、自分なりの考えや判断軸を持ち、それをスピーディーに行動に移すことが大切です。未来志向で実行力を伴った人材に成長することを期待しています。

 2つ目は「チャレンジ精神」です。理想を高く持ち、新入社員ならではの柔軟かつ自由な発想で失敗を恐れずチャレンジして下さい。イノベーションを生み出す新風となることを期待しています。

 3つ目は「誠実と信頼」です。当社グループの最大の財産は「人」です。誠実な姿勢と熱意が、多くの「人」と「プロジェクト」を動かします。「あなただから」と信頼され、期待に応えるための努力を惜しまない人間性を磨いていってください。

 社会人となった今日の感激と新鮮な気持ちを胸に、皆さんが大きな志を持って積極果敢に挑戦していくことを通じて、当社グループとともに成長していくことを期待しています。

◆森トラスト(株) 代表取締役社長 伊達 美和子氏

 本日は入社おめでとうございます。皆さんの新しい門出に心からお祝い申し上げます。

 この数年、コロナ禍により光が見えない中、先を模索せざる得ない状況にありました。皆さんの学生生活もオンラインとリアルが併存する、これまでとは全く異なるスタイルであったと思います。我々を取り巻く事業環境も例外ではなく、様々な影響を受けていました。
 特に、それまで大変好調であったホテル事業は環境が一変。インバウンドが蒸発、国内需要も制限され大変厳しい事業環境となりました。また、オフィス事業においても、テレワークが常態化する中でオフィスそのものの価値が問われ始めました。

 しかし、昨年度の水際対策緩和により、徐々にホテル事業は好転しています。特に森トラストでは、従来のホテルに加え、2020年に3つのホテルを開業していたことにより、昨年度のグループホテル事業の売上は過去を大きく上回っています。さらに今年、来年と複数のホテルを開業予定で、不確実な情勢においても着実に前進し続けています。また、世界の海外旅行者は年々増える傾向を示し、日本に対する旅行ニーズは、大変高いものがあります。コロナ禍においても着実に準備してきたホテルが、その需要の受け皿になることを期待しています。

 また、オフィス事業において、事業活動の中にデジタル化が浸透する一方で、社会活動が回復していくとともに、改めてオフィスの在り方やリアルの価値が見直されるものと考えています。来年は、我々が提唱する「DESTINATION OFFICE」構想を実現する「東京ワールドゲート赤坂」が開業します。人々がリアルな場で活動を共にすることで生まれるエネルギーや化学反応から生まれるイノベーション。活発に交流することで形成される組織へのエンゲージメント。これらを達成できる場所が、これからのオフィス像であり活発な企業活動を支える源泉になると考えています。

 そして、本年度より森トラストの本社は東京ワールドゲートに移転します。従来のデスクが整然と並び事務作業をするという単調な場所ではなく、目的をもって集い活動する、人との交流の中で憩い快適性を実感する場所になる、そんなオフィスを我々自身が形づくっていくのです。皆さんもその一員として、フレッシュな感性を生かし、新オフィスで活発に活動することを期待しています。

 一方、コロナ禍から経済活動は回復しつつありますが、社会経済全般をみると、長期化するウクライナ情勢、急激に進んだ円安、米国の歴史的な政策金利上昇とインフレ問題、そこから派生した足元の金融不安など、不透明さが増す一方です。こうした経済情勢は、物流の停滞、建築費や燃料の高騰を生み出し、工事期間の長期化など、事業に直接影響を及ぼすものとなります。このような不透明さを増す不確実な社会の中で、皆さんには、(1)多角的な視点で視野を広げ、常に改善策を講じる。(2)見えない先を見据える力を養いバランスをもって挑戦し続け未来づくりに貢献する。そうした気概、精神をもって、事業、業務に積極的に参画していただきたいと思っています。

 変化の激しい社会情勢ですが、暗く長く続いたトンネルに差し込む光を確実にとらえ、ともに前進し発展を目指していきましょう。

 本日は皆さん、本当におめでとうございます。

◆三菱地所レジデンス(株) 代表取締役 社長執行役員 宮島正治氏

 入社式で「おめでとう」という言葉を使うことがありますが、私はこれから一緒に働く皆さんに「おめでとう」ではなく、「一緒に頑張ろう」という言葉で迎えたいと思う。

 配属先では、三菱地所グループの基本使命である「まちづくりを通じて社会に貢献する」ことを念頭に置き、お客様から選ばれ続ける質の高い住まいを提供するべく、それぞれの職場で頑張ってもらいたい。

 皆さんはコロナ禍で、制限された学生生活の中でも一人一人が工夫して知恵を絞り、時には仲間と相談し話し合いながら多くのことを学び、経験してきたと思う。
 そしてこれからはその経験を生かし、自分で考え行動できる社員となってもらいたい。周りも巻き込む人間力を持ち、お客様にとって何が良いことなのか、全てのステークホルダーから選ばれ続ける会社になるために何が必要なのかを考えて、日々の仕事に打ち込んでくれることを願っている。

 そして、皆さんを迎えてスタートする2023年度は、当社の新しい中期経営計画の初年度である。アフターコロナの時代に移っていく中で、個人の力だけではなく、「横連携」による組織力を高めることがとても大切だと考えている。

 是非、ここにいる皆さんが早く業務に慣れ、自分なりの感性や工夫を見つけて、新しい風を会社の中に吹き込み、会社を盛り上げてくれることを願っている。
 新中期経営計画には、「Try for happiness」という言葉が使われている。新しいことに挑み、お客様、事業パートナー、そして当社で働く社員からも、選ばれ続ける会社を目指して頑張っていこう。

 お客様に寄り添い、時代の先を見ながら、常に挑戦し続ける三菱地所レジデンスを、皆さんと一緒に作り上げていきたいと思っている。これからの皆さんの活躍を大いに期待している。

◆東急グループ グループ代表 野本弘文氏(東急(株)取締役会長)

【「夢の実現」に向けて、強い「志」を持って自ら考え行動しよう】

 東急グループは昨年で創立100周年を迎えました。現在、交通事業をはじめ、建設、不動産、生活サービス、ホテル・リゾート事業など、お客さまの生活に密着した幅広い分野で事業を展開しており、100年の間、その時々の社会課題に向き合い、積極的に挑戦し続け、事業を通じて、お客さまに豊かさを提供してきました。

 創業者の五島慶太翁は、「自分が現在携わっている仕事については、常に第一人者となるよう努力することが大切」だと言っています。これから、皆さんはいろいろな業務に就くと思いますが、どのような仕事であっても、この仕事は「何のためにやるのか」「もっと良い方法がないか」など自分事として考え行動することが大事です。若い時には、与えられた仕事を正確にやることを求められがちですが、大いにチャレンジし、多くの経験をすれば、必ず成長につながります。

 今年は、東急グループにおいて、3月に39年ぶりとなる新線、東急新横浜線の開業、4月14日には新宿にホテルおよび映画館・劇場・ライブホールなどのエンターテインメント施設からなる「東急歌舞伎町タワー」の開業、11月にはオフィス、商業、レジデンスなどからなる「渋谷サクラステージ」が竣工するなど、多くのトピックがあります。

 いずれのプロジェクトも、皆さんの諸先輩方が、長年にわたり地元や行政と協議を重ね、取り組んできたものです。どのような事業であっても、一人の力だけで進めることは難しく、同じ思いを持って行動する仲間がいて初めて実現できます。皆さんには、常日頃の勉強を通じて自分の考えをしっかり持ち、仲間とコミュニケーションを積極的にとることで、自らの考えや思いに共感する理解者を大勢作ってほしいと思います。

 100周年を迎えた東急グループが、新たな100年に向け継続成長していくためにも、皆さんが強い「志」を持って、自ら考え行動して、世の中にとって必要とされるような「夢の実現」をしていただきたいと思います。

◆(株)西武ホールディングス 代表取締役会長 会長執行役員兼CEO 後藤高志氏

 西武グループを取り巻く環境は、来月に新型コロナウイルスの感染法上の位置づけが「5類」に移行されることや、海外からの入国規制緩和など、新型コロナウイルスの影響から経済活動は着実に回復しています。このような社会の動きをふまえ、当社グループでは社員一丸となって、今後のさらなる飛躍を目指していきます。

 コロナ禍で笑顔が失われたと痛感しています。今、日本において一番大切なものは「笑顔」だと確信しています。一人ひとりが日本に笑顔を届ける、大変かけがえのない仕事に従事していることを心に留めて働いていただきたいと思います。

 アフターコロナにおいて、企業価値の最大化を実現するため、「各社の機能高度化・専門性強化」を企図した組織再編を実行しました。昨年4月には、「業界 NO.1クオリティのホテルチェーン」を目指して、「西武・プリンスホテルズワールドワイド」を設立し、またグループ保有資産の価値極大化を担う「総合不動産会社」として、「西武リアルティソリューションズ」を設立しました。本年4月1日より、西武鉄道は中核事業である鉄道事業、並びに沿線価値創造機能に特化する会社として、グループ組織再編を行いました。このように西武グループは新入社員の皆さんとともに新たな一歩を踏み出しており皆さんの活躍のフィールドは多岐にわたります。

 西武グループではグループビジョンの実践を後押しできるよう、「はたらく人を、ほほえむ人へ。」というコンセプトのもと、誰もが働きやすい職場環境を 引き続き整えていきます。新入社員の皆さんには、その実力を存分に発揮していただき、さまざまなイノベーションを起こすことを期待しています。プロとなるための四つのヒントは、第一に「明るくさわやか」、第二に「執念をもって仕事にとりくむ」、第三に「颯爽(さっそう)としていること」、第四に「おとこ気を持つ」です。これらを意識したうえで、困難に逃げずにトライをして一人ひとりが成長し、「最良、最強の生活応援企業グループ」を実行する力になってほしいと思っています。ともに頑張っていきましょう。

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