不動産ニュース / 開発・分譲

2023/5/23

長谷工、木造化・木質化の研究技術開発を加速

音響実験棟

 (株)長谷工コーポレーションは、脱炭素社会に向けたマンションの木造化・木質化や木造住宅の研究技術開発を加速させる。2023年1月、遮音性能検証に特化した「音響実験棟」をグループの研究・技術開発拠点である「長谷工テクニカルセンター」(東京都多摩市)に開設。木造建築の課題の一つである遮音性能の効率的な実証を行なう。

 マンションの遮音性能については、同センター内にある「住宅実験棟」に部材を組み込んで実験を行なっている。「音響実験棟」は、床や壁などの「試験体」そのものの性能を測定することに特化した施設。鉄骨造1階建て、高さ16m。内部にJIS規格に則った2つの残響室(音源室と受音室)を並べて設置。その横の大型クレーンで、各種部材を釣り上げて設置する。音源室の天井はRC床、受音室の天井は空洞で、各種構造床をはめ込めるようになっている。総工費は約3億円。環境配慮として、耐震部材として厚さ210mmのCLTを使用した。

 音源室と受音室との間に木造や鉄筋コンクリート造の壁材を挟み、音源室からの音の遮音性能を計測する。また、音源室の上に床仕上げ材を設置しての床衝撃音レベルの測定や、受音室の上部に構造床を設置して、床衝撃音遮断性能を測定する。

 木造部材の性能評価については、これまで第三者機関に測定を依頼していたが「3ヵ月先まで予約が入っており、また送った部材が戻り、結果が出るまでに3週間かかる」(技術推進部門技術研究所建築環境研究室副所長・岡﨑充隆氏)というデメリットがあった。専用実験施設を用いることでこれら部材の性能測定のタイムラグをなくし、研究開発と実用化までの時間を短縮する。

 当面は、鉄筋コンクリート造のマンションの一部を木造化する「ハイブリッドマンション」に用いる部材等の開発や、(株)長谷工ホームや(株)細田工務店の戸建住宅の性能向上に向けた部材の開発を中心に活用。耐震部材としているCLTパネルも実用化を目指す。センター内にある住宅実験棟や多目的実験棟と合わせ、建物の基礎や構造、室内外の環境や設備などに関する性能実験を多面的に行なっていく。

「音源室」内部。壁や天井に並ぶのは吸音材
「受音室」内部。天井が空洞となっており、さまざまな構造床を差し替えることで、床衝撃音遮音性能を測定できる

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