不動産ニュース / 開発・分譲

2023/5/29

銀座のビル上層部に木造空間/髙木ビル

中央が「銀座髙木ビル」上層部に木の箱が載っているような外観が印象的だ

 (株)髙木ビル(東京都港区、代表取締役社長:髙木秀邦氏)は27日、「銀座髙木ビル」(東京都中央区)を報道陣に公開した。

 同ビルは、東京メトロ「銀座」駅徒歩4分、同「新橋」駅より徒歩5分に立地。敷地面積は154.01平方メートル。1966年築の写真館ビルを建て替えた。2015年に写真館が閉館し、賃貸ビルとして運営されてきたが、老朽化のため旧オーナーが手放すことを決め、同社が18年に取得した。

 写真館として地元の住民や商店主が人生の節目に記念写真を撮影していたという建物の背景を考慮し、解体前にはアートイベントを開催して、地元の住民や商店主らにも開放。「当社は銀座でビルを持つのは初めてなので、イベントを通じ地元の方々に『顔見せ』ができたのと同時に、どのようなビルに建て替わるかということも紹介できた。このビルを起点に『銀座の価値』を発信していきたい」(髙木氏)。

 竣工したビルは、地下が鉄筋コンクリート造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)、地上が鉄骨造一部木造という混構造。地上12階地下1階建て、延床面積は1,341.83平方メートル。地下1~地上8階が店舗・オフィス、9・10階が飲食店、11・12階と屋上にはサウナ施設の入居が決まっている。開業は10月の予定。

 9~12階は多摩産のスギ材を使った木造建築。外壁にもスギ板を張り付けており、上層部に木の箱を載せたような外観となっている。「上層部分は、現時点では日本で最も高い場所にある木造空間。銀座という発信力のある地域で木造ビルに取り組むことで、日本の中小ビルの新たな価値をつくっていきたい」(同氏)。1階のエントランスにも多摩産のスギ材を壁の面材として使用。最新の液体ガラスコーティングを施しており、腐食や傷を防止するとともに、メンテナンスの負担を軽減している。

 1フロア面積は約30坪。銀座の高さ規制と容積率規制の両方を生かし、高さ56mに対して12階建てと階高を4.5~5m確保する贅沢な空間構成とした。木造の各階にはバルコニーも設置。軒の出は2.8mと空間としても十分な広さとしている。

 店舗部分の募集賃料は一坪当たりおおむね3万円台半ば。「相場賃料よりはやや強気のセッティングだが、物件を見た仲介会社からは納得の声をもらっている。募集開始したばかりだが、飲食店やクリニック、クリエイティブ系のオフィスなど、多数が内覧に訪れている。10月のビル開業までには満室に近づけたい」(同氏)。

ビル上層の木造部分の外壁には多摩産材を用いる
店舗・オフィス部分は階高4.5mと贅沢な空間構成にしている(9階の木造店舗フロア)
1階のエントランスにも木材を張るなど、木材の持つぬくもりを生かしている

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木造ビル

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