積水ハウス(株)は28日、全国の地場住宅業者との共同建築事業「SI事業」を9月1日から開始すると発表した。同社の持つ耐震技術をオープン化。パートナー企業とともに、耐震性に優れた木造住宅ストックの拡大を目指す。
同事業では、同社がオリジナル耐震技術「基礎ダイレクトジョイント構法」などをオープン化し、木造戸建ての基礎・躯体(スケルトン)を子会社の積水ハウス建設(株)により施工。各パートナー企業が、建物の内外装(インフィル)を施工しひとつの住宅を作り上げ、販売するもの。積水ハウスの技術力と地域に根差した地場ビルダーの顧客提案力を融合し、耐震性の高い木造住宅を供給していく。本部が加盟店に部材や商品等を提供するフランチャイズチェーン方式や、加盟店同士が工法やシステムを共有するボランタリーチェーンと異なる、対等な双方向の関係を構築。パートナーごとに、提携の中身をアレンジする。
パートナー企業が顧客と請負契約を結び、積水ハウスはパートナー企業の下請けとして部材を供給し、スケルトンを施工する。施工後の保証等はパートナー企業が担う。パートナー企業は、地域や顧客のニーズに合ったインフィルとすることが可能で、積水ハウス単独で供給する木造住宅よりもリーズナブルな価格での供給が可能。当面は、建売住宅で展開し、パートナー企業の求めがあれば注文住宅でも展開していく。
全国各地の有力ビルダーを中心に、パートナー企業を募っていく。提携にあたり両社でパイロット棟を建設し、その反響等を見たうえで正式な契約を締結する。9月1日のスタート時のパートナー企業は、関西住宅販売(株)(兵庫県明石市)、(株)ノーブルホーム(株)(茨城県水戸市)、積豊建設(株)(茨城県日立市)の3社。このほか、現在複数のパイロット棟建設が進んでいる。2025年度中に全国10社のパートナー企業と提携し、年間300棟の共同建築を目指す。25年度には住宅の省エネ基準の強化や構造設計図書の提出必須化(いわゆる4号特例の縮小)など、ビルダーの負担が増えることから、パートナー企業には耐震技術だけでなく、省エネ技術や内装等のノウハウの提供も検討していく。
28日会見した積水ハウス代表取締役社長執行役員兼CEOの仲井嘉浩氏は「わが社は、常に国の基準を一歩上回る耐震性能を設定し、耐震住宅をリードしてきた。そのノウハウをオープン化し、パートナー企業の皆さんととともに、耐震性の高い住宅ストックの拡大をスピード感を持って推進していく」と抱負を語った。