
(一社)不動産証券化協会は19日、「東京會舘 丸の内本館」(東京都千代田区)で記者懇談会を開催した。
同協会会長の菰田正信氏は、昨今の経済動向について、「ロシア・ウクライナ戦争、各国の金融引き締め、中国経済の先行き懸念など国内外にはさまざまなリスク要因があり、今後の見通しについては予断を許さない状況にある。このような中、7月28日の日銀政策決定会合により、長短金利操作、いわゆるイールドカーブ・コントロールの運用を柔軟化することが決定された。しかし、諸外国と比べると依然として低い金利水準を維持しており、当協会としては今後すぐに大きな金利上昇に結び付く可能性は低いと考える」と分析した。
令和6年度税制改正要望については、「今後の日本経済の成長のためには不動産投資市場の活力の維持向上が必要不可欠だと考える。そこで当協会では、土地固定資産税の負担調整措置の延長、土地・住宅に関する不動産取得税の軽減措置の延長、国家戦略特区税制の延長、カーボンニュートラル投資促進税制の延長、投資法人が税会不一致による二重課税の解消手段を行使する際の任意積立金の取り扱いに係る改正、の5つを要望に掲げた。これらの改正は投資市場の活性化と国民の安定的な資産形成に資するものであり、実現に向けて引き続き尽力していく」等と語った。
また同協会では近年、不動産投資市場のさらなる発展・進化に向けて、投資家層の拡大に向けた普及活動やコンプライアンスの徹底、そしてESGの視点を踏まえた投資運用の高度化に力を入れている。その一環として「この度、JリートのESGへの取り組みを表彰する『ARES ESGアワード』を創設した。業界全体のさらなるレベルアップを目指していきたい」(菰田氏)。