不動産ニュース / その他

2024/1/23

DX推進、経営者は“海図”をつくることが重要

 (一社)日本ビルヂング協会連合会 日本ビルヂング経営センターは22日、第25回新春特別ビル経営セミナー「変わりゆくオフィスビル業界の最新課題を考える~AI・IoTの活用や多様化する働き方への対応など~」をライブ配信で実施した。

 開会にあたり挨拶に立った会長の木村惠司氏は、「日本ビルヂング経営センターが日本ビルヂング協会連合会と2023年4月に合併してから初の新春セミナーの開催となる。今年は合併効果を生かし、地方協会と連携したセミナーの開催など、さらなる情報発信に努めていきたい」と述べた。

 4人のスピーカーが登壇。三菱地所(株)執行役社長の中島 篤氏は、「三菱地所が取り組むこれからのまちづくりについて」をテーマに講演。1890年代に陸軍練兵場移転後に丸の内地域の払い下げを受けて以降の丸の内のまちづくりの歩みを紹介しつつ、2002年以降進めているビル建て替えによる再開発、大丸有(大手町・丸の内・有楽町)エリアの変遷、同社の事業内容、今後の取り組みなどについて語った。

 続いて、一橋大学大学院ソーシャルデータサイエンス研究科教授の清水千弘氏が登壇し、「不動産業界は、どのようにAIと向き合っていったらよいのか?:DXの進め方と経営者の役割」をテーマに解説した。ビッグデータ、AI、ディープラーニングといった言葉について説明しつつ、AI等にできること・できないこと、機械と人間の協力などについて説明した。また活用事例として、ドバイで進められたブロックチェーンを用いて30分で不動産取引を完結させる取り組みや、清水氏の研究室で取り組んだ生成AIによる営業ロールプレイング事例を紹介した。DXを推進するために経営者がすべきこととしては「AIと人間の役割を決め、海図をつくること。つまり、中長期的なかじ取りをするための長期ビジョンづくりが重要」と述べた。

 森ビル(株)専門役員都市開発本部計画企画部計画推進2部兼事業計画部部長の田中敏行氏は「虎ノ門ヒルズ完成と麻布台ヒルズ竣工」と題し、森ビルが取り組む都市づくり「立体緑園都市」について説明。その上で、麻布台ヒルズ、虎ノ門ヒルズのハード・ソフトの取り組みについて詳細に説明した。

 最後にジョーンズ ラング ラサール(株)リサーチ事業部シニアディレクターの大東雄人氏が「多様化する働き方とオフィス市況」をテーマに講演。コロナ禍を経て欧米では在宅勤務が定着した一方、日本を含むアジアにおけるオフィス出社率は総じて高いという状況を報告。またグローバルマーケットにおいては22~23年に不動産投資額が落ち込んだが、低金利や資金調達コストの低さから日本では22年から23年に投資額が大きく上昇した事実に触れ、「日本を除く主要マーケットでは政策金利を大きく上げているが、日本ではマイナス金利が採用されていて世界的に見ても魅力的な市場である」(大東氏)とし、24年については、空室率の上昇率は緩やかになり、賃料についても、下落スピードが緩まるとの予測を示した。その他、グローバルのオフィス市場では立地、賃料に次いで環境認証の取り組みが重視されるようになっていること、同社が公表している不動産透明度インデックスにおいて、日本がランクを上げるために必要なことなどについて説明した。

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