不動産情報サービスのアットホーム(株)は24日、41回目となる「地場の不動産仲介業における景況感調査」(2024年1~3月期)の結果を発表した。北海道、宮城県、首都圏(1都3県、東京は23区と都下)、静岡県、愛知県、近畿圏(2府1県)、広島県、福岡県の13都道府県14エリアで前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出(「50」が前年並み)。同社加盟店のうち、都道府県知事免許を持ち5年を超えて不動産仲介業に携わる不動産店の経営者層が対象。調査期間は24年3月12~25日。有効回答数は1,857店。分析はアットホームラボ(株)。
当期の賃貸仲介の業況DIは、首都圏が55.0(前期比6.4ポイント上昇)と2期連続で上昇して過去最高。前年同期比は0.2ポイント上昇。近畿圏は46.7(同5.0ポイント上昇)と4期ぶりに上昇したが、前年同期比は2.5ポイント低下した。
全国14エリアのうち京都府を除く13エリアが前期比上昇、9エリアが前年同期比上昇となった。首都圏では千葉県、東京23区、東京都下で調査開始以来の最高値を更新。東京23区は58.6と14エリアで最も高い値となった。近畿圏では、大阪府(同7.5ポイント上昇)と兵庫県(同7.9ポイント上昇)は大幅に上昇したが、京都府(同8.4ポイント低下)は大幅に低下した。その他のエリアでは、宮城県(同11.3ポイント上昇)、広島県(同8.7ポイント上昇)が大きく上昇した。
不動産店からのコメントでは、「転職や転勤で上京する方の数がコロナ以前に戻ってきた印象」(東京都練馬区)など社会人を中心に単身需要の回復をうかがわせる声や、「内見せずに申し込む方が増えた」(東京都新宿区)、「Web申し込みは若い方には好評」(福岡県福岡市)などDXの浸透を伝える内容がみられた。
売買仲介の業況DIは首都圏が45.6(同1.3ポイント上昇)、近畿圏が45.3(同0.2ポイント上昇)と、いずれも2期連続で上昇した。前年同期比は、首都圏が0.7ポイント上昇、近畿圏が0.5ポイント上昇と、ほぼ横ばいでの推移となった。
エリア別では、14エリア中10エリアが前期比上昇。前年同期との比較でも10エリアが上昇した。首都圏では、東京23区が3期ぶりに前期を上回った。埼玉県、東京都下は2期連続上昇となった。近畿圏では、大阪府は2期連続で上昇したが、兵庫県と京都府では低下した。その他のエリアでは、6エリア中、5期連続の低下となった愛知県を除く5エリアで前期比・前年同期比ともに上昇。特に宮城県は48.8(同7.1ポイント上昇)、広島県は49.2(同6.8ポイント上昇)、福岡県は49.7(同5.8ポイント上昇)と大幅に上昇し50に近づいた。
不動産店からは「買い替え希望のお客さまが増えた」(宮城県仙台市)、「既存住宅、新築土地探しのお客さまが増えてきた」(広島県福山市)など、来客増を示すコメントが寄せられた。
24年4~6月期の見通しDIは、賃貸仲介が首都圏48.5と低下、近畿圏47.6と上昇の見込み。14エリア中11エリアで低下が見込まれている。売買仲介では、首都圏が43.4、近畿圏が41.9とともに低下、14エリア中9エリアで低下を見込んでいる。
今回の調査結果について、アットホームラボ(株)執行役員データマーケティング部部長の磐前淳子氏は、「賃貸では、転勤や進学などによる住まい探しが本格的に再開し、ほとんどのエリアで業況が上昇した。売買では上昇エリアが多かったもののおおむね横ばいでの推移であり、見通しでは金利上昇の影響を懸念する声もある」と分析している。