(株)東京商工リサーチは26日、2023年度「本社機能移転状況」の調査結果を公表した。同社の保有する企業データベース(約400万社)から、各年3月末時点で都道府県をまたいだ本社および本社機能の移転が判明した企業を集計・分析した。
23年度に本社および本社機能を移転した企業は1万3,701社(前年度比3.3%増)と、2年ぶりに増加した。23年5月、新型コロナの5類移行で経済活動再開が本格化し、活発な需要に併せて本社移転の動きが強まったと見られる。
地区別で企業の転出入状況を分析したところ、最も転入超過数が多かったのは、中部でプラス174社。次いで、熊本県に専業半導体ファンドリーのTSMCが進出した九州でプラス116社だった。一方、転出超過数の最多は関東のマイナス272社。関東から地方への転出が続いており、3年連続で転出超過となった。コロナ禍でリモートワークが広がったものの、その揺り戻しも起きており、同社は「働き方改革は試行錯誤の段階にある」としている。
産業別の移転企業数は、小規模事業者が多い「サービス業他」の5,254社(構成比:38.34%)が最多。「情報通信業」1,672社(同12.20%)、「小売業」1,423社(10.38%)と続き、「不動産業」は1,272社(同9.28%)だった。
同社は、コロナ禍からの需要変化に合わせて機動的に本社を移転した企業が増えたと分析。またリモートワークが定着しやすい情報通信業は、ランニングコストの抑制等で都心から地方への移転が続いている。