(一社)不動産証券化協会と(株)三井住友トラスト基礎研究所は19日、第5回「不動産私募ファンドに関する実態調査」の結果を発表。前回調査は2023年12月だった。
調査時期は24年7~8月(24年6月末基準)。国内不動産を対象に不動産私募ファンドを組成・運用している不動産運用会社163社にアンケートを送付し、93社から回答を得た。
24年6月末時点の不動産私募ファンド(私募REIT・グローバルファンド含む)の市場規模(運用資産額ベース)は、38兆6,000億円(前回調査比10.1%増)と推計した。内訳は、国内特化型が28兆2,000億円(同2兆8,000億円増)、私募REITが6兆5,000円(同5,000億円増)、グローバル型が3兆9,000億円(同3,000億円増)と、いずれも拡大している。
運用資産規模を拡大させた運用会社数が、規模を縮小した運用会社数を上回り、運用資産規模は拡大。24年上半期は、日本銀行のマイナス金利政策の解除が間近に迫っているとの観測の下、ディベロッパー等の事業会社が売却・資金回収を急いだ可能性があると分析した。一方、欧米の不動産市場の不振を受けた海外投資家が国内不動産を売却する動きについては、一服感が生じたと推察している。
エクイティ投資家の投資意欲を見ると、「変化はない」が74%(同8ポイント上昇)と大半を占めた。しかし、23年7月の調査以降、「低くなってきている」(22%)が、「高くなっている」(4%)を上回る状態が続いており、徐々に金利上昇局面に転じる中で一部に慎重姿勢が見られるとしている。
プロパティタイプ別の投資額については、国内投資家・海外投資家共に「住宅」「ホテル」の増加傾向が目立った。「オフィス」は「減少」「やや減少」の回答割合の合計が大きく減少した。