(一社)不動産証券化協会は30日、記者懇談会を開き、会長の菰田正信氏らが令和7年度制度改善・税制改正要望や直近のREIT市場の動向について説明した。
菰田氏は、足元の経済情勢について「日銀の追加利上げと米国経済の先行き不安などが重なり、日経平均が8月上旬に過去最大の下げ幅を記録するなど株式市場が乱高下していた。9月に入って落ち着きを取り戻しつつある。日銀が株式市場が不安定な中では利上げは行なわないという姿勢を明確にしたことから、金利上昇への過度な警戒感は薄れつつある」などと述べた。
制度改善・税制改正要望については、7月11日のニュースを参照。菰田氏は、「今後の日本経済の持続的な成長を実現するには、不動産投資市場の活力の維持・向上が欠かせない。当協会の要望の中でも、不動産ビークルに係る登録免許税・不動産取得税の軽減措置の延長は不可欠だと考えており、金融庁・国土交通省の要望でも取り上げられている。これは、不動産投資市場の活性化と、国民の安定的な資産形成に資するものとして実現に向けて引き続き尽力していく」と語った。
最近のJREIT市場の全体的な印象については、「REIT指数が下落した要因の一つは、米国や欧州での利上げによる海外不動産マーケットの悪化に伴う海外REITの下落に、日本のREITも巻き込まれたという見方をしていること。日本の不動産市場は欧米に比べても良いのだが、グローバルの機関投資家には認知されていなかった。また、日本は超長期の低金利状態だったことから、金利の先高観・金融引き締めに対する過剰な警戒感があったが、それは今は落ち着いている」と話し、好材料として個人投資家の拡充を挙げた。また、自民党の石破 茂新総裁の経済政策への印象を聞かれると、「ネガティブな印象はない。金融マーケットに影響があり、それが不動産市場に影響を与えるかもしれないが、総じて中立ではないかと見ている」と話した。