(公財)日本賃貸住宅管理協会は12日、「日管協フォーラム2024」を開催。明治記念館(東京都港区)に3,310名が来場した。
同協会会長の塩見紀昭氏は、「申込社数は800社、来場者数はコロナ禍後最多となる3,310名となった。ブース出展はIT系を中心に金融、大規模修繕など過去最高の59社。特別協賛企業セミナーを含む35のセミナーを実施する。賃貸不動産経営管理士試験直前講座や社宅サミットも行なわれ、経営者や実務者の方々に多くの“学び”を得ていただきたい」と挨拶した。
今年のトレンドは「AI」。居住支援や空き家、カスタマーハラスメントをテーマにしたセミナーを開催。申込者数の多かったセミナーは、順に「賃貸住宅トラブル相談Q&A」「AIトレンドとこれからの不動産業務」「管理報酬引き下げ合戦からの脱却」だった。
賃貸管理研究会は、具体的な管理業務を87に項目化し、賃貸住宅管理業者に求められる標準的な管理業務と、より高度な管理業務を推奨業務と定めた「日管協標準版 賃貸住宅管理業務」を実務者目線で解説。第一ハウジング(株)代表取締役の加藤 豊氏、(株)アートアベニューPM事業部部長の片平智也氏、健美家(株)代表取締役社長の倉内敬一氏、(株)全国賃貸住宅新聞社取締役の永井 ゆかり氏がパネルディスカッション形式で、管理業務の質を高める87のメソッドについて意見交換した。「日管協標準版 賃貸住宅管理業務」の活用について、「オーナーにとって欲しい情報、サービスが提供されている」「管理会社の現状を正す指針となるのではないか」「相続や売却の際、管理の質が問われることが多い。87項目の内容は、日頃からのメンテナンス、適切なリフォーム提案などを行なうために有効では」などの意見が挙がった。
また、家賃債務保証事業者協議会は「いま求められている包括的支援」をテーマに、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授の大月敏雄氏が講演。「住宅セーフティネット法が改正され、同法は国土交通省と厚生労働省の共管となった。ここでようやく住まいと暮らし、生業、ケアがセットとなった政策基盤が形成されたと考えたい」と話した。
また、これら一体的な改革の目指すところについて、「これまでの住宅政策から一歩踏み込んで、対象となる人々の居住ニーズのアセスメントから住まい探し、入居支援、日常生活支援、死後事務までを見据えた“居住支援”を志向している点」と言及。「伴走的支援の第一歩となり得る“相談支援”が芽生える場所を近隣で確保できていることが、これからの社会形成の基盤的要素となるだろう」とした。