(株)不動産流通研究所は21日、「主要不動産流通各社の2024年度上期仲介実績」調査の結果を公表した。
2024年度上期における不動産流通各社の売買仲介の実績についてまとめたもの。大手流通各社にアンケート調査を実施し、23社から回答を得た。(下に一覧表)
23社中、手数料収入を増やしたのは18社。中でも10社が2桁増を記録。市場の好調ぶりがうかがえた。
トップの三井不動産リアルティ(株)は取引単価の上昇に加え成約件数が前年を上回ったことで、取扱高と手数料収入が過去最高を記録した。
2位の東急リバブル(株)は引き続きリテール(個人仲介)が好調。成約件数・手数料収入共に過去最高を記録した。社内の生産性向上も業績拡大に寄与し、前年同期と同様にトップの三井リアルに肉薄している。
住友不動産販売(株)は店舗数を大きく減らしたものの、手数料収入は微減にとどめた。ウェブ広告等を強化した結果、問い合わせ件数が増加するなど、先行指標は改善傾向だという。
野村不動産ソリューションズ(株)はリテールの成約件数こそ微増だったが、成約単価が上昇して取扱高・手数料収入共に増加した。ホールセール(法人仲介)においても大型案件が減少したが、成約件数は増加し、手数料収入がアップしたという。
当期のリテール市場は、都心部での既存マンションの価格上昇が大きく影響。パワーカップルや国内外富裕層、個人投資家などの強い需要に引っ張られる形で、東京23区の既存マンションを中心として市場は活発だった。「特に都心6区に価格が下がる気配はない。当面はこのままじわじわと強含みで推移するだろう」という声が目立つ。
一方、郊外においては価格上昇に需要が追い付かず、成約に苦戦する動きも。「4~6月は取引単価も手数料も低下傾向だったが、成約件数は伸びていた。しかし、7月以降は購入需要が弱まって成約件数が伸び悩んだ。売り物件も、立地や条件によって販売の勢いが二極化している」(京王不動産(株))。ただ、直近では既存住宅や建売の価格調整によって成約件数に回復の兆しがあるという声が挙がっている。
関西圏においても同様の傾向で、大阪都心部での新築マンション価格高騰が既存マンション価格を上昇させているものの、大阪市以外の地域では調整局面に突入したとの声が多い。「都心部の実績がけん引した。ただ、都心の好調の一方で郊外では苦戦を強いられているエリアが多い」(近鉄不動産(株))、「首都圏以外では、夏以降に成約件数・平均価格ともに前年を下回る月も出てきた」(住友林業ホームサービス(株))。
ホールセール市場は、投資用不動産への需要は旺盛。外資系投資ファンドが動きを控えたものの、成約価格10億円以下の小規模な取引が増加したという声が多い。一方、建築費高騰によってマンション・戸建て用地は郊外部で取得を見送る動きが散見された。「超優良立地でない限り、ディベロッパーが案件を選別する傾向が出てきた」(三菱地所リアルエステート(株)) 。
◆主要不動産流通各社の2024年度上期仲介実績
※三井不動産リアルティグループの手数料収入は、売買仲介・賃貸仲介、賃貸管理収益などを含む仲介セグメントの収益。東急リバブルの手数料収入は賃貸仲介および賃貸関連収益を含む。住友不動産販売、三菱地所ハウスネットの手数料収入は賃貸仲介含む。東京建物不動産販売と住友林業ホームサービスは24年12月期上期、積水ハウスグループは25年1月期上期、ほかは25年3月期上期の数値。大和ハウス工業グループの取扱高と店舗数は非公開 ※増減は前年同期比