不動産ニュース / 調査・統計データ

2024/11/27

Aクラスオフィスビルの期待利回りは横ばい傾向

 (一財)日本不動産研究所は27日、第51回「不動産投資家調査」(2024年10月現在)の結果を発表した。アセット・マネージャーやアレンジャー、ディベロッパー、保険会社など183社を対象に調査を実施。157社より回答を得た。

 オフィスビル(Aクラスビル)の期待利回りは、東京都が「丸の内、大手町」3.2%(前回調査(24年4月)比変動なし)と4期連続の横ばい。「日本橋」は3.4%と0.1ポイント低下したが、その他は「虎ノ門」(3.5%)、「赤坂」(3.6%)、「六本木」(3.6%)、「港南」(3.7%)、「西新宿」(3.7%)、「渋谷」(3.5%)、「池袋」(3.9%)と横ばいで推移した。主な政令指定都市も、全エリアで横ばいとなった。

 住宅(賃貸住宅1棟)の期待利回りは、「東京・城南」がワンルームタイプとファミリータイプ共に3.8%で横ばいに。地方都市はワンルームタイプで横ばいと低下が混在し、ファミリータイプでは、「名古屋」(同0.1ポイント低下)以外は横ばいだった。

 商業店舗は、都心型高級専門店の期待利回りが、横ばいと低下が混在。「東京・銀座」は0.1ポイント低下し、調査開始以来最も低い水準を更新した。郊外型ショッピングセンターは「大阪」(同0.1ポイント低下)と「福岡」(同0.1ポイント低下)以外の調査地区で横ばいとなった。

 物流施設・倉庫(マルチテナント型)の期待利回りは、多くの調査地区で横ばいとなったが、湾岸部の「大阪(大阪港)」と内陸部の「東京(多摩地区)」が0.1%ポイント低下。なお、「東京(多摩地区)」は4.0%(同0.1ポイント低下)と内陸部としては調査開始以来最も低い水準を更新した。ホテル(宿泊特化型)の期待利回りは、「東京」「札幌」「仙台」など多くの調査地区で0.1ポイント低下。「東京」は4.2%(同0.1ポイント低下)で調査開始以来最も低い水準を2期連続で更新した。

 今後1年間の不動産投資スタンスについては、「新規投資を積極的に行なう」が94.0%(同1.0ポイント低下)。一方、「当面、新規投資を控える」は2.0%(同3.0ポイント低下)となった。

 併せて、特別アンケート「金利ある世界と不動産投資市場」も公表した。回答者数は144社。

 一連の金融政策の変更による不動産投資市場への影響については、「影響はなく、変化は生じていない」が67.8%と最多に。次いで「やや萎縮し、市場は停滞の方向へ移行しつつある」が29.4%となった。
 また、27年3月末の長期金利水準予想は「1~2%以下の水準」が72.7%と最も多かった。不動産投資市場への影響は「一時的に停滞するものの、その後は回復に向かう」(41.7%)、「大きな変化は現れないか、またはより活性化する」(22.3%)となり、合わせて64%が、大きな長期金利の上昇と不動産投資市場の影響は見られないと考えていることが分かった。

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不動産投資

資金を不動産(土地・建物)の購入・賃貸に充てて運用し、収益を得ることをいう。運用益は、不動産価格の上昇益(キャピタルゲイン)または賃貸料収入(インカムゲイン)として得ることになる。

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