ジョーンズ ラング ラサール(株)(JLL)は27日、「マーケットセミナー」を開催。東京のオフィスビル市場の最新動向と2025年の見通し等について解説した。
9月末時点、東京都心5区に位置するAグレードオフィスビル(全214棟)は空室率3.1%(前四半期比0.5%低下)・1坪当たり賃料(以下、「賃料」)3万4,610円(同1.1%上昇)。エリア別では、「丸ノ内/大手町」が空室率1.8%(同0.3%上昇)・賃料4万2,689円(同1.7%上昇)、「六本木/赤坂」が空室率5.3%(同3.4%低下)・賃料3万4,042円(同0.2%上昇)、「新宿/渋谷」が空室率1.8%(同0.1%低下)・賃料3万390円(同2.3%上昇)。この結果について、同社リサーチ事業部の大東雄人氏は、「24年、賃料は第1四半期から第3四半期まで連続で上昇しており、その背景には空室率の低下がある。赤坂/六本木は麻布台ヒルズが空室を残して竣工したことなどが影響し空室率が上昇しているが、一時的なものだと考えられる」などと分析した。
25年の都心5区Aグレードオフィスビルは、空室率3.5%程度、賃料3万6,000円程度を見込む。24年は新規供給が少なかったことに対し、25年はその5倍程度の供給が計画されているが、大型物件である「高輪ゲートウェイ1N」「BLUE FRONT SHIBAURA S棟」をはじめ、すでに多くのビルで入居テナントが決定。空室率上昇の懸念は少なく、引き続き需給がひっ迫した状態が継続する見通し。
なお、世界の主要都市の賃料動向を時計に見立てた「プロパティクロック」における「東京」の位置は、コロナ禍突入以降、「賃料下落」のフェーズにあったが、24年に「賃料上昇の加速」に転換。25年も引き続き、「賃料上昇」に位置する見込みとした。同氏は、「世界的に見ても、コロナ禍後のオフィス回帰率が高い国は賃料上昇傾向にある。日本も23年中盤からオフィス回帰が進んでおり、それが賃料上昇を及ぼしている」などと説明した。
また、同社キャピタルマーケット事業部の内藤康二氏が不動産投資マーケットについて言及。24年第3・4四半期、世界の不動産投資市場において日本は5位につけており、国内不動産取引高は第3四半期までで、すでに23年通年の規模を上回っている状況。24年通年では、10年ぶりに5兆円規模に達する可能性があるとした。今後については、金利の引き上げ等について注視されるものの、大きな変化はない可能性が高く、日本の不動産投資市場は引き続き堅調に推移すると予測している。