(一社)不動産協会と(一社)不動産流通経営協会(FRK)は8日、オークラ東京(東京都港区)で「令和7年新年合同賀詞交歓会」を開催。両協会の会員や衆参国会議員、関係団体役員などが集まった。
冒頭、不動産協会理事長の吉田淳一氏が挨拶し、「国内の不動産市場は全体として堅調に推移。とりわけオフィス市場では空室率が改善傾向で、多くのエリアで賃料上昇局面に移行している。一方、建築費の高騰や人手不足など、事業環境は厳しい」などと現状を総括。その上で、GX・DXの推進により「社会課題を解決するとともに、持続的な経済成長を実現することが重要。産業創造に資するまちづくりに取り組み、民間投資を拡大し、わが国の競争力をさらに高めていく必要がある」と強調した。
協会の活動については、「ZEH・ZEBの実現加速や中高層建築物の木造化促進、ホールライフカーボンの削減への取り組みなどにより、サステナブルなまちづくりを進めていく。5年ごとに見直しを行なう住生活基本計画の議論を本格化し、わが国の重要課題の一つである子供・子育て分野をはじめ、多様化する住宅ニーズを踏まえ、適切に対応していきたい」などと述べた。
乾杯の挨拶を行なった不動産流通経営協会理事長の太田陽一氏は、「デフレに後戻りしない成長型経済を実現する内需のけん引役として、既存住宅の流通活性化に果敢に取り組んでいく。わが国の暮らしや住まいにも徐々に変化が生じており、過去の働き方・育児・介護・マイホーム像と現実のずれが、人手不足・少子化・空き家などの目に見える社会課題となっている。政策面でご支援をいただきつつ、他団体の皆さまとも連携しながら、不動産流通市場の持続的な成長に力を尽くしていきたい」と語った。
来賓として挨拶した国土交通大臣の中野洋昌氏は「マンションでは、建物と居住者の『2つの老い』が進んでおり、区分所有法の見直しと一体的に、新築から再生までのライフサイクル全体を通じて管理や再生の円滑化等を図るための方策について、通常国会での法案提出を目指して検討を加速していきたい。さらに、世界水準のデジタル社会の形成に向け、不動産DXの推進により、取引の円滑化、業務の効率化を実現するとともに、不動産関連情報の連携を促すことで新たなビジネスの創出にも取り組んでいく」と話した。