(独)住宅金融支援機構は13日、住宅ローン市場の動向等をテーマにプレスセミナーを開催した。
国際・調査部調査グループ長の矢野 聡氏が、「住宅ローン市場の動向」について発表。同機構が実施した調査によると、2023年度の住宅ローン新規実行額は21兆円、貸出残高は221兆円規模と堅調に推移している。住宅ローンの借入額については、23年度利用者の平均が10年前と比べ1.25倍の3,424万円(683万円増)。
住宅ローン利用予定者に、検討時点での「希望する金利タイプ」を聞いたところ、「変動金利型」は全体の4割にとどまっていたが、借入時点では8割に増加。比較した住宅ローンの数は「1つ」が67%を占めた。一方、住宅ローンを比較する際にファイナンシャルプランナー等の専門家に相談した人のうち、51%が「2つ以上」を比較。その人たちが利用した金利タイプは、「変動金利型」が68%、「固定金利」型が32%だった。
地域業務統括部地域連携グループ長の香川佳昭氏は、「フラット35」の実績を紹介。「フラット35」子育てプラスは、24年2月13日から25年2月末までの期間で、「フラット35」全体の融資実行件数のうち約63%が利用している。「フラット50」については、長期優良住宅の普及や、24年4月から「フラット35」と「フラット50」の金利差が0.1%に縮小したことなどを背景に、「フラット50」の申請件数が急増していることが明らかになった。
また、令和6年能登半島地震への対応状況についても説明。災害融資の受け付けは、「生活インフラの復旧遅れ、避難所生活の長期化、公費解体の長期化などを背景に、発災1年目の受理件数合計は115件にとどまっている」とした。罹災地域別では、七尾市(21件)の申し込みが最多。新潟市(16件)、輪島市(13件)、金沢市・志賀町(11件)と続いた。罹災地以外の市町村で再建する事案も18件。現地相談は、石川県で233回、新潟県で103回、富山県で38回実施。「被災地方公共団体との連携により、住まい再建支援策の早期整備に向け引き続きサポートする」とし、「被災世帯に対し絶え間のない相談機会も提供していく」と話した。
住宅融資保険部リ・バース60推進グループ長の鈴木大樹氏は、「リ・バース60」の利用状況について、付保申請件数(申込受理件数)は17年度以降大幅に伸張しており、累計で9,000件を突破したと発表した。24年度(12月末時点)における利用者平均は、所要額3,088万円、借入額2,435万円、毎月の支払額4万1,000円、年金受給者割合は53%。制度開始からの付保実績の累計は1,400億円を突破した。なお、1月から「リ・バース60」(全期間固定金利タイプ)を創設、取り扱いを開始している。
さらに、「リ・バース60」耐震改修利子補修制度を創設すると言及。地方公共団体の耐震改修工事補助金を受ける人が「リ・バース60」で耐震改修融資を利用する場合に、国が同機構を通じて利用者に利子補給を行なう。各地方公共団体、および同制度を取り扱う金融機関の準備が整い次第、順次開始していく。