森ビル(株)は22日、「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査2025」の結果を発表した。1986年以降に竣工した、事務所延床面積1万平方メートル以上のオフィスビルが対象。一般に公開されている情報を基に、2025年5月上旬までに実施した現地調査、聞き取り調査で供給量を算出した。
東京23区の大規模オフィスビルの供給量は、25~29年の5年間で459万平方メートルとなる予定。25年132万平方メートル、26年90万平方メートル、27年45万平方メートル、28年65万平方メートル、29年127万平方メートルとの予想で、25~29年の平均は1年当たり92万平方メートル。1986~2024年の過去平均(101万平方メートル)を下回り、オフィス市場への影響は限定的になると想定した。都心5区の今後5年間の供給量は年79万平方メートルで、過去10年平均(82万平方メートル)を若干下回る。
24年の1物件当たりの平均供給量は2.8万平方メートル。2万平方メートル台は10年以来。事務所床面積10万平方メートル以上・10万平方メートル以下を分類して集計した結果でも、「以上」の割合が25年74%、28年80%、29年91%と推移する見込みで、大規模オフィスビルの供給は増加傾向にあるとした。
25~29年の5年間の主要ビジネスエリア別供給面積とそのシェアは、「日本橋・八重洲・京橋エリア」(99万平方メートル・22%)がトップ。次いで、「丸の内・大手町・有楽町エリア」(71万平方メートル・16%)、「品川エリア」(52万平方メートル・11%)。なお、過去5年(20~24年)と比較して供給量の増加が見込まれるのは、大型バスターミナルなど、交通インフラと建物の一体的な整備や、ホテル・商業施設等を含む大規模開発が進んでいる「日本橋・八重洲・京橋エリア」(64万平方メートル増)、「赤坂・六本木エリア」(35万平方メートル増)、「品川エリア」(50万平方メートル増)。
24年末の空室率は3.7%(前年比2.1ポイント低下)と2年連続の低下。主要ビジネスエリアは3.3%(同2.9ポイント低下)と大幅に低下している。吸収量(前年末の空室面積+新規供給面積-当年末の空室面積)は、24年の供給量を大きく上回る113万平方メートルに達している。24年の供給物件(43万平方メートル)のうち、約9割の38万平方メートルはそのエリアで吸収されている。