(一財)日本不動産研究所は28日、不動産のESG投資についてのアンケート調査結果を発表した。同日発表した「不動産投資家調査」の特別アンケートとして実施したもの。アセット・マネージャーやアレンジャー、ディベロッパー、保険会社など175社に、環境・社会・企業統治要素を考慮した「不動産ESG投資」への考え方を聞いた。
不動産投資家がESG投資に対して期待する内容では、「不動産価値への影響」が360ポイントでトップ。以下「賃料単価への影響」(152ポイント)、「リーシングへの影響」(144ポイント)となり、将来的な収益性の向上を期待する声が多かった。
ESGに適した不動産とそうでない不動産の賃料収入差について、「現在」と「10年後」とで聞いたところ、現在では「特に違いはない」(82.8%)「1~5%程度高い」(14.8%)とする回答が多かったが、10年後は「1~5%程度高い」が62.5%とトップ。「6~10%程度高い」も15.6%となり、逆に「特に違いはない」は19.5%だった。
ESG投資に適した不動産とそうでない不動産の期待利回りについても、現在は「変わらない」が80.2%と最も多かったが、10年後は「-10bp(価値が高い方向)」が45.8%と最も多かった。
また、自然災害の頻発、脱炭素化社会の実現やTCFD提言などを受けて、より重視するようになった項目では「所有する不動産の省エネルギー・創エネルギー対策」が71.9%でトップ。以下「浸水対策などの不動産レジリエンス向上への施策」(59.4%)、「再生可能エネルギーの利用、グリーン電力証書等の購入」(48.4%)が続いた。近年頻発する自然災害を受けて、投融資の際に着目する自然災害リスクについては、「水害(内水氾濫・外水氾濫)」(60.3%)、「地震・津波」(35.1%)の2項目が大きく注目されていた。