(公社)全国宅地建物取引業協会連合会は5月30日、第一ホテル東京(東京都港区)にて2025年度1回目の理事会を開き、26年度税制改正・土地住宅政策に関する要望書案、指定講習(業務管理者講習)の終了延期等について議決・承認した。
税制改正要望では、25年度中に期限切れを迎える措置が多いことから、その延長が中心。低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得については、未利用地の利用・管理を促進するための特例措置の適用期限延長を要望する。住宅ローン減税に関しては、適用期限、床面積要件の緩和特例等の延長を求めるほか、既存住宅の需要拡大などの市場動向を踏まえた見直しを求めていく。また、相続等で取得した空き家・空き地などの流通促進を想定し、会員から要望の多かった長期保有していた土地建物等にかかる概算取得費を現行の5%から引き上げることなども盛り込む。
政策要望に関しては、銀行の不動産仲介業参入・保有不動産の賃貸自由化の阻止に加え、空家特措法に基づいて自治体内部で共有されている空き家所有者情報に関する外部提供制度の確立や、不要となった空き家・空き地に関する自治体の寄付受け入れ要件の緩和などに向けた制度整備を求めていく。
また、賃貸住宅管理業法における業務管理者資格を宅地建物取引士が取得するために受講する指定講習(業務管理者講習)、いわゆる「宅建士ルート」に関しては、26年5月に制度を廃止する予定であったが、今回終了を延期する。もともと、21年の業者登録制度の施行からおおむね5年程度の経過措置とすべきという扱いとなっていたが、国土交通省が24年6月に実施したアンケートで、小規模事業者の7割以上が業務管理者の要件を賃貸不動産経営管理士に限定することに反対。これを受け国交省では25年6月以降に有識者検討会を設置して検討していく予定を明らかにするなど、先行きが不透明となっている。また、24年度も指定講習を約1,000人が受講しており、一定のニーズが存在することが明らかであり、「宅建士ルートは宅建士の権益の一つでもあるため、全宅連からの廃止主張は合理性に乏しい」(全宅連)として、当面は継続。今後は、宅建士ルートの在り方についても、有識者会議への提案を含めて必要な対応をとっていくとした。
なお、理事会では4月1日時点の会員数も報告。全国の会員数は10万1,550社(前年比516社増)となり、7年連続で増加。東京都で124社、大阪府で96社純増しており、不動産市場の活発なエリアほど増加傾向が強い。なお、会員数の維持率トップは鳥取県で、4月1日時点の会員数は303社で、前年よりも3.1%増加した。