国土交通省は1日、「一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての中間整理」を公表した。
不動産特定共同事業は、1995年の制度創設以降、商品数・募集総額ともに拡大傾向にある。特に近年は、インターネット上の契約を通じた一般投資家の参加が拡大。2023年の一般投資家参加者数は29万7,000人(うちインターネット上の契約を通じた参加者20万人)に達しており、投資家がより分かりやすく安心して投資できる市場の整備が必要になっている。そこで同省は「一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての検討会」を25年3月に設置。3回にわたり有識者による議論を進め、その内容を中間整理として示した。
中間整理では、不動産特定共同事業の制度充実の方向性として「一般投資家向けの情報開示の充実」「対象不動産の売却価格等における公正性の確保」「行政による監督の充実」「業界団体との連携による自主ルール等の検討」の4つを示した。
情報開示の拡充については、想定利回りの根拠、対象不動産の価格の妥当性、不動産鑑定評価をとっていない場合はその理由、利害関係人取引における取引価格の妥当性、出資金の使途など、契約前書面における記載を拡充することや、運用期間中の提供情報の拡充を図るべきとした。
対象不動産の売却価格等における公正性の確保では、不当廉売や損失補填を防止するため、償還時に対象不動産を利害関係人に売却する場合等は、原則として、証券化対象不動産としての不動産鑑定評価額に即した価格での売却を求めることを提示。
行政による監督の充実では、毎年実施している証券化実態調査の調査項目・開示項目の充実、調査結果の監督への活用、事業者への立入検査や国から都道府県への技術的助言等の積極的な実施などを盛り込んだ。