野村不動産ソリューションズ(株)は、企業の不動産に関する設備投資アンケートをまとめたレポート「変化する経営環境と不動産戦略『企業の不動産保有・賃借の選択にみる傾向と背景』」を公表した。調査期間は2025年7~8月。有効回答数は260社(上場企業173社、非上場企業87社)。
過去1年間の設備投資については、「行なった」との回答は78.8%(205社)と8割に上り、多くの企業が積極的に設備投資を実施していることが分かった。設備投資を行なった不動産の種類は、最多が「本社以外のオフィス」71社(19%)。次いで「本社オフィス」18%、「工場」同、店舗12%が続き、業務・生産拠点が中心となった。
設備投資の計画については、今後3年間で「予定がある」と回答した企業は66.5%に達した。その内容は、「本社以外のオフィス」が22%、「本社オフィス」が18社となり、業務効率化を目指した拠点充実を図る動きが確認できた。
オフィスビルの保有と賃借状況は、最多が「一部を自社で保有し、一部を賃借している」50.8%(132社)で過半となり、保有と賃借の併用が主流であることが明らかとなった。2位は「すべて自社で保有している」27.3%(71社)、3位は「すべて賃借している」20.0%(52社)。企業は柔軟な運営を重視しつつ、戦略的に一部を賃借することで安定性と機動性のバランスを確保していることがうかがえた。
今後の傾向がどうなるかを聞くと、「保有」が29.2%・「賃借」が35.4%。その回答理由については、不透明な経済・社会情勢や急速な事業環境変化に対応するためだという回答が21%で最も多くなった。上場・非上場別では、非上場企業は「保有」が43.7%・「賃借」が25.3%、上場企業は「保有」が22.0%・「賃借」が40.5%とほぼ真逆の結果となり、成長と共に保有から賃借に移行する様子が読み取れる。
不動産に関する問題意識については、最も多かったのが「遊休地・余剰スペースの活用」96社(22%)、次いで「不動産保有がもたらす財務指標(ROE・ROA等)の低下」82社(19%)、「部分最適・非最適な不動産拠点の配置」63社(15%)となった。企業は不動産を単なる固定資産としてではなく、経営資源としての効率性や戦略性を重視していることがうかがえ、戦略的なポートフォリオの最適化が求められていることが分かった。
