記者の目 / 開発・分譲

2007/3/23

神奈川県内最大級の大型SC「ららぽーと横浜」グランドオープン

「カルチャー」をテーマに、地域のコミュニティ活動の場をめざす

 3月15日、大型ショッピングセンター「ららぽーと横浜」(横浜市都筑区)がグランドオープンした。同施設は、三井不動産(株)が展開する、「ラゾーナ川崎プラザ」(川崎市幸区)、「アーバンドックららぽーと豊洲」(東京都江東区)、「ららぽーと柏の葉」(千葉県柏市)に次ぐ、大型プロジェクトの一つ。「カルチャー」をテーマにした地域密着型の商業施設で、4つの中でも最大規模となる。今回は3月12日に行なわれた、内覧会の様子をレポートしたい。

「ららぽーと横浜」外観
「ららぽーと横浜」外観
3層構造で、1周400mのインナーモール
3層構造で、1周400mのインナーモール
料理教室の様子。ガラスや陶芸など、カルチャー教室が充実
料理教室の様子。ガラスや陶芸など、カルチャー教室が充実
ものづくりスタジオ「玄創工房」。団塊世代向けに工房を時間貸しするほか、趣味の専用道具・材料が揃う
ものづくりスタジオ「玄創工房」。団塊世代向けに工房を時間貸しするほか、趣味の専用道具・材料が揃う
世界初の白磁のパイプオルガン
世界初の白磁のパイプオルガン
自然食品の店「サンクゼール モア」。ワイン、ドレッシング、化粧品など、20代~40代の女性向けに、素材にこだわった商品を扱う
自然食品の店「サンクゼール モア」。ワイン、ドレッシング、化粧品など、20代~40代の女性向けに、素材にこだわった商品を扱う
開放感を創出した「屋外広場」。敷地内では、既存樹木300本を移植・保存し、水と緑豊かなランドスケープを実現
開放感を創出した「屋外広場」。敷地内では、既存樹木300本を移植・保存し、水と緑豊かなランドスケープを実現

住宅・商業複合開発

 三井不動産では、新規商業施設の展開として、商業施設を核に、地域のコミュニティや文化の創造をめざした「ライフ・ソリューション・コミュニティ」事業を推進している。
 「ららぽーと横浜」では、「The Life With Culture(ライフ・ウィズ・カルチャー)」をコンセプトに、カルチャースクールやものづくり工房など、文化的な要素を多く採り入れている。

 開発地はNEC工場跡地で、JR横浜線「鴨居」駅より徒歩7分。3階建て、敷地面積10万2,002.23平方メートル、店舗面積約9万3,000平方メートル。「TOKYO-BAYららぽーと」(千葉県船橋市)の3分の2ほどの規模となる。
 隣接には分譲マンション「パークシティLaLa横浜」(横浜市都筑区、総戸数705戸)も開発され、商業・住宅併せた開発面積は約13ha。
 敷地内には、横浜市営バスのバスターミナルを設けたほか、横浜市営地下鉄「センター北」駅から無料シャトルバスが運行。約4,200台の敷地内駐車場も完備されている。

 店舗は、食に特化した新業態の「大丸」をはじめ、「イトーヨーカドー」「東急ハンズ」「紀伊国屋書店」、13スクリーンのシネマコンプレックス「TOHOシネマズ」など大型店が出店。その他にも飲食や物販店など、店舗数は284店、「大丸」や「イトーヨーカドー」内の専門店を加えると、約370店舗にものぼる。


ものづくり施設が豊富

 コンセプトが「カルチャー」だけに、趣味やカルチャースクールのお店や施設が豊富にあるのが特徴的。ライフスタイリング・スクール「カルチャープラス」では、ガラスや陶芸教室をはじめ、料理、ダンス、生け花、クラフトなど、さまざまな分野の講座を受けることができる。オープンスタジオやギャラリーも併設されており、子供からお年寄りまで楽しめそうだ。
 また、(株)ナムコが、趣味道具・材料の大型専門店「ユニアート」とコラボレーションしたものづくりスタジオ「玄創工房」は、団塊世代向けに、もの創りを手軽に楽しめる場を提供。手芸工房やアトリエなど、さまざまな専用道具が揃い、時間貸しの個室が全9種20部屋用意されている。

 キッズ関連ショップでは、子供を預けるだけでなく、学習プログラムを用意した託児所や、キッズプレイスペース併設のレストランなどもある。また、子供向けに人形劇団の講演なども行なわれる。

 食物販・レストランゾーンは、11店舗から構成されるフードコート「FOURSYUN(フォーシュン)」、プラネタリウムを見ながら食事が楽しめる「ムーミンオーロラカフェ」などがある。

 女性の美と健康をテーマにした店舗が集積するヘルス&ビューティーゾーンには、ガラス張りのアプローチ階段や、女性専用のスペシャルパウダールームが用意されており、ハーブの専門店やヨガ・整体サロン、自然化粧品などを扱う「マークス&&ウェブ」などが出店。若い女性やミセスをターゲットにした店が並んでいた。

 その他、「カリヨン広場」(サウスコート)には、世界初となる白磁のパイプオルガンを設置。ドイツのマイセン社製の鐘とパイプでできた楽器で、オルガンの設置は、「ららぽーと豊洲」に続き2つ目となる。


魅力的なマーケットエリア

 会見で、専務取締役 商業施設本部長の永田和一氏は、「『ららぽーと横浜』では、ニューファミリー、ミセス、団塊世代、団塊ジュニアなど、幅広い層を取り込むことにチャレンジした。ファンション、デイリーゾーン、エンターテインメントゾーンまで、顧客の幅広いニーズやウォンツを満たす構成となっている。総工費はマンション開発も含めて550億円、基本商圏は20万人、年間来場者数は1,600万人を想定している」などと述べた。

 「ららぽーと」に行くと、よく迷路のように迷ってしまい、行きたいお店にたどり着けないことがあったが、「北側広場」「中央広場」「カリヨン広場」「屋外広場」の4つの広場が、3層吹きぬけで繋がっている「横浜」は、構造が分かりやすく、広さも歩き疲れることなく、ほど良い印象を持った。

 一方、「鴨居」駅からのアクセスは、道が狭く不便だった気が…。そして、町工場が多いせいか、駅から施設までの道が雑然としていて、周りの雰囲気と合っていなかった気がする。ただ、来場者のアクセス方法は、駅の利用者が少ないため、特に問題ないのかもしれない(車50%、徒歩24%、自転車13%、バス6%、「鴨居」駅は7%を想定)。その分、立体横断道路や歩道橋が設置されて、施設へのアクセス向上が図られていた。

 最寄りの「鴨居」駅は、首都圏マンション市場動向の駅別供給戸数((株)マーキュリー調べ)で、10位内にランクインしている、魅力的なマーケットエリア。横浜や都心方面にもアクセスしやすく、周辺では、多くの住宅・商業施設の開発計画が進んでいるという。

 競合も多い中、「カルチャー」を切り口に、地域のコミュニティ活動の場をめざした「ららぽーと横浜」、果たしてどこまで個性を出して、周辺との差別化を図れるのか注目したい。(さ)

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