記者の目 / その他

2008/3/17

「街づくり・流通ルネサンス 2008」開催

未来の街づくりと流通・小売業に向けたアジア最大級の展示会

 日本経済新聞社主催の「街づくり・流通ルネサンス2008」が4日(火)~7日(金)と、11日(火)~13日(木)に、東京国際展示場(東京ビッグサイト)にて開催された。  同展示会は、「JAPAN SHOP 2008」「建築・建材展2008」「リテールテック・ジャパン 2008」「IC CARD WORLD 2008」「SECURITY SHOW 2008」「フランチャイズ・ショー」の計6展で構成される総合展示会で、次世代の店づくりや街づくりのための最新の製品や技術、コンセプトが発信されるもの。

今回で37回目となる「JAPAN SHOP 2008」
今回で37回目となる「JAPAN SHOP 2008」
サボテンを利用した家具を出展する企業も((株)フットガーデンズ)
サボテンを利用した家具を出展する企業も((株)フットガーデンズ)
ワークショップ「シックハウスの攻略法~健康と環境に配慮する住まい~」は、多くの参加者で満席状態((株)リビング・デザインセンター)
ワークショップ「シックハウスの攻略法~健康と環境に配慮する住まい~」は、多くの参加者で満席状態((株)リビング・デザインセンター)
屋上・壁面緑化関係のブースも多数目にした
屋上・壁面緑化関係のブースも多数目にした
世界の銘木フローリングを紹介されており、木の素材が癒しにつながるということを体感できる(中部フローリング(株))
世界の銘木フローリングを紹介されており、木の素材が癒しにつながるということを体感できる(中部フローリング(株))



多種多様な展示会が一堂に会す

 6つの展示会を一つずつ紹介していこう。

 「JAPAN SHOP 2008(今年で37回目)」は、店舗向けの什器や設備、ディスプレイから商空間デザインまで最先端の店作りを提案。たとえば(株)日本演出(本社:東京都新宿区)は、「賑わい創りの道具や」をコンセプトに、店で必要とされる什器やディスプレイ備品を展示。ブースの入り口近くに展示されていたカボチャや、台所雑貨に惹かれてブースの中へ入ると、内装業社向けに卸しているというポール(2.5㎏)の説明をしてくれた。省スペースでも棚の設置を可能にするポールだという。
 その他、サボテンを利用した家具を出展する企業((株)フットヒルガーデンズ/本社:千葉市中央区)などの珍しいブースもあり、「見ていて楽しい」展示会であった。

 「建築・建材展 2008(第14回)」では、住宅建材や店舗・ビル建材、昨今の地球温暖化防止への動きに合わせた省エネや環境に配慮した建材、耐震・防犯、シックハウス対策などの安心・安全建材を多数展示。
 併せてキャンバス(膜材)および関連製品を紹介する国内初開催の専門ビジネスショーとなる「キャンバス・ジャパン」も特別企画展として開催されていた。

同時に開催されていた(株)リビング・デザインセンターOZONE情報バンク室内環境ラボによる「シックハウスの攻略法~健康と環境に配慮する住まい~」というワークショップに出席してみた。進行は同ラボマネージャーの稲田智子氏。業界関係者などで会場はほぼ満席状態。僅か40分のセミナーだったが、床材、畳、シート系床材、壁装材、左官材、塗料などの内装仕上げ材の選び方や接着剤や家具の選び方まで丁寧な説明がなされた。
 基本的なことだが、「身体に近いところ」や「広い面積を占める部位」「長く居るところ」に用いる建材などに注意をすることが必要だ、ということを改めて認識させられた。

 また、08年4月より実施される4VOC自主管理制度についても触れられ、日本接着剤工業会の会員企業は3月21日から表示マークがついたものを出荷予定とのこと。
 稲田氏のコメントで印象的だったのは「匂いや刺激を検討した後に、自分で『合う』か『合わない』を確認することが大切」という点。OZONE情報バンクでは、800種程度の建材を紹介しているが、それらはすべてサンプルを入手して確認しているのだという。

 今年の「建築・建材展」では、昨年に比べて、屋上緑化、光触媒コーディング技術などに目が行った。中部フローリング(株)(愛知県名古屋市)では、世界の銘木フローリングを紹介しついつ、「無垢材は1/fのゆらぎ」と提案していた。木の素材が癒しにつながるということをダイレクトに伝えていたのだ。他、カナダ直輸入の建材を紹介する団体もあった。


近未来を体験できる展示も

 「リテールテック・ジャパン 2008(第24回)」では、流通業向けのITソリューションを展示。店頭プロモーション、トータル流通情報システム、店舗運営支援サービス、ネットワークなどゾーンごとに分かれ展示が行なわれ、日本自動販売機工業会による「VENDEX JAPAN」も併せて開催されていた。
 東芝テック(株)、NEC/NECインフロンティア(株)、富士通(株)などの出展スペースの広いブースの企業が非常に目につき、また、セルフレジなど、未来のショッピングを実現させる最新機器やシステムが多数展示されていた。

 「IC CARD WORLD 2008(第10回)」では、電子マネーやクレジット決済、乗車券、入退管理など幅広い分野で応用され飛躍的に多機能化が進むICカードの最新情報を紹介。ICカードに関する国内唯一の展示会で、今年は「Felica World 2008」も開催。大日本印刷(株)、(株)NTTデータなどの出展ブースにはとりわけビジネスマンが多く、ここだけ違う感じがした。

 「SECURITY SHOW 2008(第16回)」は、安心で安全な街づくり・社会づくりを実現するセキュリティ機器やサービスの総合展示会。防犯・防災の両面からの商品やサービスが多種多様展示されていた。
 「セキュリティステージ」では、「緊急地震速報の利活用と課題」といった講演とパネル討論や、「情報セキュリティ文化賞記念講演会『情報化の新潮流と情報セキュリティ』」などが開催され、多くの人が耳を傾けている姿が印象的だった。

 このように、上記の展示会が一斉に開催された第一週目(4日~7日)は、ビッグサイト全館貸し切りということもあり、会場全体が未来の日本の都市を表現するようで、見ごたえも十分であった。街づくりに関わるほとんどすべてのものの最新の技術やサービスが、ここまで集中するという機会はないだろう。

 興奮冷めやらぬうちに、第2週目(11日~13日)の「フランチャイズ・ショー」を取材した。
 こちらは、フランチャイズビジネスに関する国内最大規模の展示会。さながら、会場はミニ商店街のようで、オフィス製品から、食品販売、そしてヨガ…。と、普段いろいろなシーンで目にするフランチャイズ展開企業がひしめき合っていた。
 そして、会場の匂いがすごい。お好み焼きソースの匂いが最も強く、大阪の屋台が連なっているように感じるスペースもあった。いずれの企業も加盟店募集を促しつつ、それぞれの企業体質の紹介をしている。
 受講無料の出展社ワークショップもバラエティに富んでおり、共通するのは「流通業のさらなる発展」と「地球にやさしく快適な生活環境の実現」に向けた具体的かつわかりやすい提案。
 ちなみに、出展企業の中でも地味ながらも丁寧な説明で、人を引き付けていたのが、マップマーケティング(株)(本社:東京都渋谷区)のハイ・コスト・パフォーマンス ビジネスマッピング商品の「Terra Map」。最適な出店の候補地の選定のために有効なパソコン用ソフトだ。国政調査を基に、昼間人口データなどがパッケージ化されているため、立地分析や販促エリア分析ができる。フランチャイズ展開のうえで、エリアマーケット分析は生命線にもなるだろう。こういうソフトは非常に効力がありそうだ。

 次回の開催は、09年3月3日(火)から6日(金)まで、JAPAN SHOP、建築・建材展、ライティング・フェア、リテールテック・ジャパン、IC CARD WORLD、SECURITY SHOWが、翌週10日(火)から12日(木)までフランチャイズ・ショーを予定している。来年はどんな日本の街づくり像が発信されるのか。ぜひ見てみたい気がする。(YUKIZO)

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