海外トピックス

2019/5/1

vol.356 高騰が止まらないバルセロナの住居事情【スペイン】

 「スペイン」と聞いて、どんなライフスタイルを思い浮かべるでしょう?

 安くておいしいタパスにワイン、1年中降り注ぐ太陽のもとで地中海を臨む、“豪華”ではないけれど贅沢な日常?

 残念ながら、現実はそれほど甘くありません。近年、首都マドリードやバルセロナなどの都市部では家賃が高騰し続けており、「物価は日本よりも安いから」と安心していると、家賃で生活が苦しめられてしまう可能性も。

 今回は、そんなバルセロナの家探し事情についてお伝えしたいと思います。

人気物件は争奪戦

 スペインでは、学生、社会人ともにアパートをシェアするのが一般的ですが、もちろん1人暮らし用の部屋もあります。

 家探しは「idealista」「fotocasas」といったサイトから探すのが一般的です。気に入った部屋を見つけたら、サイトに掲載されている不動産屋(シェアの場合は代表者)に電話をして内見予約を取り付けるわけですが、日本の場合と違うのは、そのスピード感です。

 あと2時後にその物件で待ち合わせ、ということもざらにあります。さらに、不動産会社やその家の代表者とのやりとりをチャットアプリの「WhatsApp」でするため、「いま内見ができる」「もう埋まってしまった」といったコミュニケーションがスピーディーにおこなわれます。つまり、人気物件の場合、ほかのところも見学してから……と悠長なことを言っていると、あっさりほかの人に取られてしまうこともあるのです。

人気都市の厳しい現実

 現地の人たちが言うには「700ユーロ(約8万8000円)以下できちんとした1人暮らしの部屋はありえない」ということ。そして、私が実際に1人暮らし用の部屋を探した感覚では、何かを妥協しない限り700ユーロでも見つからないのではないかと思います(※大手サイトでも「バルセロナ中心地で400ユーロ」というありえない安さで、素敵な写真と共に掲載されていることがあります。けれど、それは間違いなく詐欺なので要注意。「自分は海外にいるから先に入金して、確認できたらその部屋を押さえておくから」と言われ、そのまま消えるというパターンです)。

 たとえば、ピカソ美術館などがあるボルン地区にあった物件、750ユーロの場合。リノベーションしたばかりで、ベッドルームが2つ、ダイニングキッチンがあり、1人で住むには充分な広さでした。ところが、バスルームのなかにクローゼットがあったり(バルセロナはただでさえ湿気が多いので、確実に洋服がカビます)、日当たりが悪かったり、階段が異様に狭くて汚かったり……と、懸念点だらけでした。

昔は漁師が住んでいたバルセロネータ地区の建物は、狭くて古いものが多い

 さらに、値段を上げて治安があまり良くないラバル地区で800ユーロの部屋も見てみましたが、40平米で暖房器具もエアコンもなく(東京と同様、夏は非常に暑く冬もきちんと寒いです)、日当たりも悪く、とにかく写真とは大違い、というところも。

基本的にスペインの賃貸物件は家具付きです

 最終的に、私はバルセロネータ地区にあるリノベーションしたばかりのアパートで、冷暖房付きの30平米の部屋を借りることができました。ですが、なんとその家賃は980ユーロ(約12万3000円)。日本円で毎月家賃を確認するたびに、泣きそうになりました。

ビーチまでは徒歩3分くらいの距離で気に入っていますが、観光客が常に多いエリアなので現地の人からは不人気

5年で48.8%

 友人によれば、3〜4年ほど前までは、1人暮らしでも500〜600ユーロほどで借りることができたそうです。ところが、海外からやってくる人は後を絶たず、次から次へと部屋は借りられ、家賃を多少値上げしても払ってくれる人がいるという状況に。さらに、観光客向けにAirbnbのような民泊をはじめるところが増えたため、さらに家賃は上がる──という事態が起きているのです。

 実際、2018年8月の「バングアルディア」紙が報じたところによれば、5年前と比べ住居の値段は48.8%も高騰しています。

 ちなみに、2018年11月の同紙によると、スペイン人の平均月収は1889ユーロ(約23万7000円)。2017年比で0.6%上がったものの、市内中心部に住めなくなり、郊外から通勤する人も増えているそうです。

 場所や人数にもよりますが、シェアであれば500ユーロほどで住むことができます。値段と手続きの手間を考えれば、そちらのほうが賢い選択といえるかもしれません。

上田紋加(編集・ライター)
2017年〜2019年1月までスペイン・バルセロナに在住。大学在学時代にスペイン・サラマンカに留学し、スペイン生活に憧れるように。総合商社で2年勤務後、2014年より講談社「クーリエ・ジャポン」のフリーランス編集者・ライターとして勤務。海外で活躍する日本人や旅行、映画、グルメなど主にカルチャー分野を取材、執筆する。

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