海外トピックス

2021/8/1

vol.383 「豪」快なリモコンごみ収集【オーストラリア】

謎の箱の正体

 オーストラリアの住宅地を訪れると、不思議な光景を目にすることがある。地区ごとに決められた曜日になると、必ずどの家の前の歩道にも高さ1.2m、上面の一辺が60cmほどの物体が置かれるのだ。私が住むブリスベンの場合、その蓋の部分は赤色と黄色、そして緑色に分かれるが、どれも下部に2つの車輪が付き、大きさも形もまったく一緒である。

歩道に並ぶこの物体はいったい…

 道路沿いにずら~っとそれが並ぶ姿はなかなか壮観で、初めて見た人は「いったい中にはどんな宝物が入っているのだろう?」、と興味をそそられるはず。だが「開けてビックリ玉手箱」の逆で、フタを開くとげんなりすること請け合いだ。というのも、実はこれ、各戸が所有する「ごみ箱」だからだ。

 このごみ箱、蓋の色で入れられるものが決まっている。赤い蓋は生ごみなどの「普通ごみ」用。緑の蓋は希望者にしか配られない有料の「植物ゴミ」用。芝刈り機でカットした芝や、剪定した木の枝などを入れるためのものだ。これらはコンポスト処理場で堆肥に生まれ変わる。

それぞれのごみ箱の蓋には、何を入れていいか、何を入れては駄目かが記載される

 そして、黄色い蓋は「資源ごみ」用だ。この中には「ガラス瓶」、ビールや清涼飲料水や缶詰などの「アルミニウム缶」と「スチール缶」、ペットボトルなどのさまざまな「プラスチック容器」、牛乳やジュースの「紙容器」、古新聞や古雑誌や使い古しの段ボールなどの「紙」などを入れる。

「資源ごみ」用のごみ箱に入られるものは多岐にわたる

 そう聞くと、「全部一緒くたに入れて、どこが資源ごみだ! 分別回収しないと資源として利用できないだろ!」と思われる方も多いだろう。しかし、これで大丈夫なのだ。というのも、オーストラリアではごみの分別は住民ではなく、ごみ収集センターが行なってくれるからだ。

なんとも「豪」快なごみ分別

 現在、ごみ収集センターで資源ごみをどのように分別処理されるのか明らかになっていないが、以前、あるメディアで紹介記事を読んだ時に、「かなりハイテクだ」と感じたことを覚えている。うろ覚えだが、以下のような手順だったと思う(多少間違っている所はあるかもしれない)。

1)「紙」「プラスチック」「スチール缶」「アルミ缶」「ガラス瓶」の「資源ごみ」すべてを、巨大ベルトコンベアーに載せる。そこに強力な風を当て、重さの軽い「紙」が吹き飛ばす。ベルトコンベアーから落下した「紙」を回収する。

2) 残りの「プラスチック」「スチール缶」「アルミ缶」「ガラス瓶」を巨大水槽に移す。水より比重が軽い「プラスチック」のみ浮くので、それらを回収する。

3)残った「スチール缶」「アルミ缶」「ガラス瓶」を上部に磁石のついたベルトコンベアに流す。磁石には「スチール缶」のみがくっつくので、それらを回収する。

 うろ覚えなので、残りの「アルミ缶」「ガラス瓶」をどう分別するのかは、どうしても思い出せない。だが大半の作業がオートメーション化されていて、非常に効率的な手法であることはご理解いただけたと思う。労働力も、機械を扱うオペレーター以外は必要ないわけである。

そして「豪」快なごみ収集車

ごみ収集車はかなり大型だ

 労働力が必要最低限であるという意味では、「ごみ収集車」も同様だ。ご存じのように、日本では運転手以外にも2~3人が徐行する収集車の後ろからエッチラオッチラと追いかけて、集積スペースに辿り着くとビニール袋に入れられたごみを収集車の後ろに放りこんでいく。大変な作業だ。

 ところがオーストラリアのごみ収集車の後ろには、走る人たちはいない。運転手が1人いるだけだ。しかも運転手は車から出てこない。ではどうやってごみを回収するのだろうか?

 運転席にはショベルカーやブルドーザーを操作するようなコントローラーがあり、それを使って収集車に取り付けられたアームを操作する。道路脇に置かれたごみ箱の位置に合わせてアームを操作したかと思ったら、ごみ箱の首の部分を掴んで持ち上げ、収集車の上部に空いた穴にごみを収めていく。まるで柔道の一本背負いか巴投げのように見事に技は決まり、中身がカラになったごみ箱はもとあった場所に戻されるのだ。

アーム付き収集車のごみ収集① 
ごみ箱をアームでグイッとつかむ(少し古い写真なので、「普通ごみ」のボックスの蓋は濃い緑色になっている。乱暴に置かれたらしい手前のごみ箱が転がってしまっているのはご愛敬)
アーム付き収集車のごみ収集② 
ごみ箱をググッと持ち上げる
アーム付き収集車のごみ収集③ 
逆さにすると蓋が自動的に開く。ごみが収集車の中に収まる

 道幅が広いオーストラリアならではの、まさに「豪」快なごみ収集だ。

柳沢有紀夫
文筆家。1999年にオーストラリア・ブリスベンに子育て移住。世界100カ国300人以上のメンバーを誇る現地在住日本人ライター集団「海外書き人クラブ」の創設者兼お世話係。『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著書多数。

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